君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ9)

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探索が決まったどのぐらいに帰ってくるかAに伝えて、必要な薬草を聞きに行く。

「よし、準備はこれでよし」

長めの旅なので念入りに道具なども問題ないか確かめ外に出ると、Aがクロムの元に駆け寄って探索に行くのか尋ねていた。

「僕に聞けばいいのに…」

ボソッと無意識に呟いてしまう自分に驚いてしまう。
最近Aが誰と話していてもモヤモヤする。
麦を届けに行ったり、他の誰かとAが話してたりでタイミングがなく…あの時以来2人でちゃんと話してない。

「羽京どうしたのだ？」
「いや、なんでもない…」

探索に行く前に最後にAと話したいと思ったが…クロムに必死に何か伝えていた。

「クロム！！行くぞ」

コハクはAの肩を組んで戯れているクロムを見て遊んでいると思ったのかそう声をかける。

「おー！」

大きな声でクロムが返事をしてこちらに向かって来ようとするが、Aが服を掴んで引き留める。

「なんだ？」
「さぁ…」

何か渡す物でもあるのかAはクロムを待たせて、治療室に入ると何か差し出す。

取り込み中なら仕方がないとコハクは家の壁に持たれ気長にクロムを待つ。

2人で話さないといけない事なのか…
こっちに来て話せばいいのにと羽京は思いながらも盗み聞きは良くないと思い雑音に集中し2人の会話が入らない様にする。

「…お、来たぞ」

クロムを長々と引き留めたAはこちらにくる様子はない。

「Aと何を話してたのだ？」
「あー、欲しい薬とか」

いつもなら僕に任せてくれるのに…と羽京は不満に思いながらもAに少し顔を向ける。

いつもなら仕事を中断してでも見送りに来るAが突っ立てこちらを見ているだけな事に羽京は戸惑う。

もしかしていつも見送ってくれてたのは自分との別れが寂しいからではなく、仲のいいクロムと別れるのが辛いからなのではと、勘違いをしてしまう。

龍水に看病を頼む姿を見てから自信がなくなり、悪い方へとばかり考えてしまう。

先ほどクロムと別れ話をして満足したから見送りには来ないのかと羽京はズキズキと痛む心臓に気づかないふりをしてリュックを背負い直す。

「それじゃあ行こうか」
「いいのか？Aに声をかけなくていつも声をかけているだろ」

確かに〝いつも〟自分から探索前はAに声をかけていた事にコハクの言葉を聞いて羽京は気づく。