表象的コンテクスト【オリジナル短編集】 (ページ14)

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会合ページ14

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何故隠しフォルダの存在を知っていると思う？何故なら、私が見ていたのはあなたのパソコンだから。つまり、私は今あなたのお部屋にいるってことよ。突如、ポケットに入れていたスマホがブルブルとバイブレーション。流れるように取り出して通知を開けばあなたが帰って来るまであと100メートル。あなたと私を繋ぐGPS。想いを受け止め受信する信号。

心臓さえ貫く赤いピンがあなたの座標を示している。小指と小指の間。あと98メートル。あなたに一刻も早く会いたくて会いたくて想いが募る。あと83メートル。寄り道もしないでまっすぐ帰ってくるあなた。私の想いも寄り道せずに一直線なのよ。余計に素直だから更にあなたを諦めるだなんてことができなくなるの。

あと37メートル。あなたが最寄り電柱の2本目で空を見上げた。此処からだとあなたがよく見える。今日は生憎の曇天だけれど、あなたの白い肌がよく風景に映えているわ。あと9メートル。あなたが玄関を潜る音が聞こえてくる。お帰りなさい。今日もお疲れ様。ドッキリが好きなあなたの為にドアの後ろに隠れる。

あと0メートル。あなたが部屋の扉に手をかける。少し空いたカーテンと落ちたリンゴに首を傾げ、彼がパソコンを起動する。伝わったかな？私の愛のメッセージ。デスクトップに映る、「アイシテマス」の6文字。思わず君が首を左右に振って不安そうな顔。もしかして、私を捜しているの？

「ねぇ、ホラすぐソコ、後ろだョ」

焦って携帯を取り出すあなた。すぐに水色の服の人がやって来て私を乱暴に捕まえた。痛いなぁ。アレ？なんで彼と離そうとするの？やめて、やめて！彼との会合を邪魔しないで！こんなおじさんたちに囲まれてあなたも怖いでしょう？大丈夫。私が守ってあげるからね。愛しくて心の底から望んだ彼が、やっと私を見てくれたの。

あと少しだったのに。彼との距離僅か3センチ。何故、なぜ、ナゼ？アイシテマスと伝えたかっただけなのに。あなた自身が恋物語を強制的にバッドエンドに導いたの。あなたと私はバラバラにそれでも構わない。本当に私を捕まえているのはあなたなのだから。あなたに殺され続ける運命も悪くはないと思うの。

会合(あいあい