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会合 ページ12

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深海の底に沈んでしまったかのように深い暗い部屋。神殿の奥に住まうようにこの部屋の主は遮光カーテンをぴったり光の入る余地がないように閉めている。部屋に木霊すのはパソコンの本体の低いうなり声とカチカチと無機質に響くマウスのクリック音だけ。パソコンのブルーライトが使用者の顔を宙に浮き彫りにしていた。その病的に白い顔は少しだけ愉悦を帯びた顔をしていた。

近くに置かれた赤く熟れたリンゴ。品種は一体何だっただろうか。フジ?それともジョナゴールド?パソコンのブルーライトを浴びて赤紫に光るリンゴはまるで白雪姫が食べた毒林檎みたい。それに手を伸ばすと力加減を間違えたのか、デスクを転がって床に落ちた。そう。これとこの恋は変わらない。

まるで万有引力に引かれて赤く熟れたリンゴが地面に落ちるように当たり前にストンと恋に落ちた。落ちたリンゴが地面に口付けるようにきっとこの恋も結ばれる。そう。必ず、幸せにこの恋は2人はくっつくに決まっているのだから。きっと周りの人間に話しても理解はしてもらえない。だってあなたのように美しい人と深海の底に捨てられた人間とじゃあ、釣り合わないなんて思うのは仕方ないこと。

でも互いのベクトルが違うからこそ、力は釣り合うと思う。あなたと遊んだ影踏み。あなたの影を踏んであなたの後ろからついていく。茜色の夕日があなたを照らして更にあなたを美しく見せる。あなたの髪が夕暮れの風に反射して深海にはない太陽の光をこの目に止めることができる。

あなたのその姿を記憶に焼き付けておきたくて、光を何度も反射させてこの瞼の裏にあなたのその姿を保存しておく。あなたが家に着いたらこの遊びはもうおしまい。電柱の影から踵を返して私もお家に帰る。鴉が一際大きく鳴いたら、カイエンパンザマストが鳴り響く。夜が来たら、子供の世界はもうおしまい。

家に帰っていの一番に携帯を取り出す。手慣れたように水色の空を白い鳩が優雅に飛んでいるアイコンを指でひと弾き。画面が移り変わって愛しいあなたの呟きが電子に乗ってこの携帯に。鳩より梟の方が伝文が確実に届くのにね。あなたの呟きに「アイシテマス」の六文字。届くといいな、希望的観測。




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ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです


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作者名:鵯(ひよどり) | 作成日時:2018年3月2日 17時

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