散らす涙と咲く笑顔 ページ11
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不敵に輝夜君に戦線布告するあたり、本当に仲がいいなと思う。それに答えるように輝夜君はぶんぶんにニヤリと不敵に笑った。
「奪う隙もないなあ、過保護すぎだね。勇儀は。」
「うるさいな、お前も人の彼女を奪う根性を見直してこい。」
スタスタと私の隣に歩いて来て私の左手をぎゅっと握られた。それでも痛くない様にと配慮するあたり、確かに輝夜君の言うように過保護なのかもしれない。
でもおっちょこちょいの私はいつだって彼に助けられているのだから彼は過保護なくらいがちょうどいいのかもね。
「先輩、帰りますよ。あまり思い出に浸りすぎるのもどうかと思います。」
「そうだね。ばいばい、輝夜君。」
「はい。お幸せに。」
彼は生徒会室の窓が完全に閉まるまで綺麗に頭を下げ続けた。滅多に生徒に対して頭を下げない彼が10秒近く頭を下げ続けたのだ。おそらく彼にとっては敬愛すべき君だったのだろう。従者のように下げられる礼には品があり、彼にしては物腰が異様に柔らかかった。別れを告げる。この校舎に。白いコンクリートに覆われた建物と降りしきる桜の雨。
その感慨深い風景を堪能しながら、彼と手を繋ぐ。暖かくて優しい手のひら。ゆっくり、ゆっくり歩道を歩いて最後の通学路。
「振られちゃったなぁ。」
「彼氏がいるのに、告白なんて。要領悪いっすね。」
「いいの。今はぶんぶん一筋だから。」
「本当に心臓に悪いっす。」
桜吹雪の中、彼の方を見上げると視線がかち合う。ほんのり桜色に色づいた頬は彼が照れているから。優しい瞳は私を愛おしいと思っているから。あなたが天邪鬼なのは口だけ。そんなところも愛おしいと思ってしまうの。
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ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
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作者名:鵯(ひよどり) | 作成日時:2018年3月2日 17時