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空気ごと閉じ込めて ページ36

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「あの、何と。」


いつもの癖で何となく内容を尋ねてしまう。彼は軽く頬を掻き、決まりが悪そうに言葉を発した。

「会議が緊急に入ってしまったようです。ですから、今からそちらに行かなければなりません。」

「左様ですか。」


途中でこのように歓談が中止されるようなことは度々あれど、このように彼が抜けるようなことは今までなかった。彼がどれだけこの時間を大切にしているか、今までの行動から理解できる。そう頭では分かっていても彼がいなくなることが、広い図書館で一人になることが酷く寂しく孤独に思えた。

「そんな顔、なさらないでください。すぐに戻ります。」

「え?」


彼は困ったように笑っている。何とも不思議な顔だ。

それより私はそんなに酷い顔をしていただろうか。確かに寂しいと、彼がいなくなるのが少し怖いとは思ったが。そんなにあからさまではなかったはずだが。彼を引き止めてしまったことと、心配させてしまったことがいたたまれなくなった。

「もっ、申し訳、ありません!我儘を!おっ、お仕事、頑張ってくださいね!」


勿論、私に本の解説をするよりも彼の教授としての仕事の方が優先すべきことだ。彼は不満そうにしながら唇に人差し指を持っていく。

「思ってないでしょ?」

「そんなこと。」


彼は先程の姿勢を崩し、私と視線を合わせた。そうして、軽く微笑みながら優しく頭を撫でられる。それは私を落ち着かせるというより、納得させるようなもの。

別に彼を困らせたいわけではない。そうして振り回したいわけでもない。というより困惑しているのは私もだ。いきなり頭をなでられたのだから当然だ。けれど彼はいつだって心のわだかまりを絆してくれる。

だから彼を無意識に頼って欲しているのかもしれない。もっと彼と一緒にいたい、そばにいて温もりを恩恵を感じたい。それをきっと目の前の彼は違う意味で捉えている。まるで母に縋る子のようなもの、幼子が大人を頼るような感情だと思っているのだろう。

私の頭に乗せている手から彼の体温が慈愛とともに流れてくる。まるで迷子になった子供を慰めるように、あやすように。そんな心地よさに無性に触れたままでいたいと思ってしまう。




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(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯さん» リクエスト消化してくださりありがとうございます!流石鵯さま、期待以上のお話が読めて嬉しい限りです。良ければまたリクエストさせてくださいね。ありがとうございました! (2017年12月29日 19時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - (´・ω・`)Loveさん» 大丈夫ですよ。ありがとうございます。気長にお待ちくださいませ。 (2017年12月28日 21時) (レス) id: 10532b6a12 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯のさえずりというページは消されたみたいですけど、リクエストってまだ受け付けてますか?もし大丈夫でしたら飴の出てくるほのぼのとしたお話が読みたいです!……こ、こういうリクエストも平気ですか? (2017年12月28日 10時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年12月20日 18時

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