ココに宣言します! ページ31
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長年の経験を信じて積み上げてきたマニュアル通りに話を持ちかけてきた蝶に意地悪なしたり顔でトラップを仕掛けるのだ。
「そっちはどうなの?」
なんて何も裏がないような演技をして。心底面倒だ。眼前に頰を夕日と同じ色に染めて喜々として語る少女に適当に相槌を打つ。心の中で大きな溜息を吐いたことは少女には内緒だ。
「なあ。」
深海の底を思わせる深い色の目が振り向く。黒縁にはめられたレンズが夕日に反射している。彼は俺が掛けた声に気がつくとニコリと笑って俺の目を覗き込んだ。彼の目を見つめ続けたなら洗脳されそうで、こちらに戻ってこれなくなりそうに思われて目をそらす。
「どうしたの。」
彼は笑顔で問いかけた。どうやら話を聞いてくれるらしい。まあ、胡散臭いが相談する相手として此処まで引っ張って来たので別に話しても構わないだろう。
「彼奴。」
俺の一言に察したと思われる。彼は一瞬だけ思案する素ぶりをして、思いついたように人差し指を立てた。
「ああ。あの子ね。」
「うん。なんか彼奴、元気なかった。無理してるっぽい。」
すると彼は首を傾げた。本当に分からないらしく、無邪気な所作だ。きっと女子目線で見たら可愛いのだろう。実に気持ち悪い。
「ふーん?僕にはいつもと変わらないように見えたけど」
やはり、女は好きだが興味はないらしい。彼が好きなのは女という生き物であって、個人ではないのだろう。タチが悪い。
「あとで聞いて見れば。」
彼が当たり前のようにそう言ったので確かにそれもそうだと思い、頷いておいた。そうして彼はいつもの飄々とした態度を崩さずに話題を転換させた。
「あいつ、いた。」
「マジだ。やっぱ迷子の名人は違うな。」
迷子の名人、略して迷人を発見した。危なく遭難するところであったチームメイトを保護し、鍋を持って来た道を戻る。迷人は終始楽しそうに笑っていたので帰り道が退屈することはなかった。
カレー作りも無事終わった。そうしてスケジュールはキャンプファイヤーに突入した。冬は火事が多いのは既知の事実なのに、何故するのだろうか。訳が分からない。こういった特別活動ならではの催しがいつの間にか火蓋を切った。
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- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯さん» リクエスト消化してくださりありがとうございます!流石鵯さま、期待以上のお話が読めて嬉しい限りです。良ければまたリクエストさせてくださいね。ありがとうございました! (2017年12月29日 19時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
鵯(プロフ) - (´・ω・`)Loveさん» 大丈夫ですよ。ありがとうございます。気長にお待ちくださいませ。 (2017年12月28日 21時) (レス) id: 10532b6a12 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯のさえずりというページは消されたみたいですけど、リクエストってまだ受け付けてますか?もし大丈夫でしたら飴の出てくるほのぼのとしたお話が読みたいです!……こ、こういうリクエストも平気ですか? (2017年12月28日 10時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鵯 | 作成日時:2017年12月20日 18時