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反射した幸せ ページ7

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「今日はローストチキンにしてみたよ」


ダイニングテーブルに所狭しと並べられた料理の品々の中のメインディッシュを指差しながら彼にそう言う。てらてらとソースが反射していかにも美味しそうだ。彼の好物の一つに数えられるのはアニバーサリーに食べるような本日のメインディッシュ。彼は英食を好んで食べる。日本人なのにね。

「本当?嬉しい!」


傍らのソファに荷物を置いてネクタイを解く。ちらりと見えた鎖骨に眩暈を感じ、視線を逸らす。なんとなく性的な美しさのある彼に見てはいけないような心持ちを抱いてしまう。それよりも彼の稚気で無邪気な一面を見てあげなければ。

「喜んでくれて何より。」

「いつもお疲れ様」


パチリと腕時計を外しながらそう言われる。カチャリと音を立ててテーブルに置かれたそれは淡く銀に光ってあの日の雨のようだった。

そうやって感謝を偽りなく本心から述べられるから否が応でもこちらも微笑んでしまう。仕事モードからくつろぎモードに切り替わったらしく頰を緩ませ、椅子を引いて晩餐の並べられたテーブルに腰かける。私もそれに倣うように席についた。

美味しそうに食物を口に運ぶ彼を見ていると顔が綻んでしまう。先程まで胸中の大半を占めていたどろりとした黒い感情がゆるゆると溶けていく。たかが同棲してだけなのに、新婚さんのような甘くそれでいて心地いい空気に浸る。これがきっと何よりの幸せで潤い。

晩餐もデザートを食べるだけとなったときに、彼は今までのような世間話とは違った様子で口を開いた。

「ねえ、唐突なんだけど。さ、」

「結婚、しようか。」


彼は小さな箱を取り出してこちらに銀の輪を差し出した。照明を受けて柔らかく光を放つその輪には小さな装飾たちが虹を固めたように美しく輝いている。突然のことに頭が思考を停止した。確かにたった今、新婚さんみたいな砂糖を溶かせるだけ溶かした飽和チョコレートみたいな空気だなあ。とは思っていたけれど。

「最近、構ってあげられなくてごめんね。」


彼は申し訳なさそうに謝る。そんな風に私のことなんか気にかけなくていいのに。けれど本心は少し、いや。凄く寂しかった。無理して欲しくないから口にもしなかったし、そんな気持ちに蓋をしてた。

反射した幸せ→←反射した幸せ


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(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯さん» リクエスト消化してくださりありがとうございます!流石鵯さま、期待以上のお話が読めて嬉しい限りです。良ければまたリクエストさせてくださいね。ありがとうございました! (2017年12月29日 19時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - (´・ω・`)Loveさん» 大丈夫ですよ。ありがとうございます。気長にお待ちくださいませ。 (2017年12月28日 21時) (レス) id: 10532b6a12 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯のさえずりというページは消されたみたいですけど、リクエストってまだ受け付けてますか?もし大丈夫でしたら飴の出てくるほのぼのとしたお話が読みたいです!……こ、こういうリクエストも平気ですか? (2017年12月28日 10時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年12月20日 18時

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