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消しゴム恋愛成就論 ページ39

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溜息は教室全体に染み渡り、微かな音さえ立たずに木霊する、なんてことはなかった。突如、後方の入り口扉がガタガタと地震さながらに揺れるように派手に音を立てた。余談だが、我が校舎は未だに木造のため、扉の窓枠は木でてきている。

私は驚きで手から離れた消しゴムを済んでのところで掴み取り、彼はそんな私を見て訝しそうに目を鋭くした。

「何を慌てているんだ。」


声を聞き、そちらに焦点を合わせれば、

「!」


体勢を崩しているにも関わらず、威厳を尚も失わない彼がそこにいた。そうして先程の焦りで椅子からはみ出し、不可思議な体勢になる私を軽く鼻で笑った。しかし、今私の手には彼の名前が刻まれた消しゴムがある。そうして目の前には彼がいる。

すなわち意味するのは彼に恋患っているのがバレるのでは、ということだ。中々に聡明な彼は例の女子たちが歓談を続ける間、近くの席でハムレットを読んでいた。そんな小難しい本を好んで読むのだから頭がいいのだ。

そんな風に近くに彼もいたわけだから耳に入っている可能性は大いにありえる。彼ならば本の内容を解読するのと同時に周りのノイズに集中することも可能だろう。私は彼に自分の気持ちが伝わるのを恐れ、反射的に消しゴムを自身の服のポケットに突っ込んだ。

「ん?今何を隠したんだ?」


彼は確認ではなく、隠したことを確定の事実として私に問う。バレてしまったという焦りから彼の言葉を掻き消すために声を上乗せした。

「わーーーー!!なっ、何もかっ、隠してなんか、いっ、いないよ!?うん!!」


そうして無実を証明しようと躍起になって無意識に立ち上がれば、咄嗟だったためポケットに完全には消しゴムが入っていなかったようで足を伝って地面に白い塊が落下する。

しまった!と思っても後の祭り。消しゴムは無情にコロコロと滑走し、彼の上履きの先端部に衝突して動きを止めた。

「何か落ちたぞ。って、消しゴムか?ん?待てよ。」


細く男子とは思えない綺麗な指先で足下に転がった消しゴムを彼はつまみあげた。そうして無言で逡巡したかと思うと小さく眉を動かした。

「ああ、そう言えば休み時間におまじないだのなんだのと言っていたな。」




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(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯さん» リクエスト消化してくださりありがとうございます!流石鵯さま、期待以上のお話が読めて嬉しい限りです。良ければまたリクエストさせてくださいね。ありがとうございました! (2017年12月29日 19時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - (´・ω・`)Loveさん» 大丈夫ですよ。ありがとうございます。気長にお待ちくださいませ。 (2017年12月28日 21時) (レス) id: 10532b6a12 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯のさえずりというページは消されたみたいですけど、リクエストってまだ受け付けてますか?もし大丈夫でしたら飴の出てくるほのぼのとしたお話が読みたいです!……こ、こういうリクエストも平気ですか? (2017年12月28日 10時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年12月20日 18時

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