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うしろに ページ42

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空が真っ赤だ。烏が二羽、頭の上を飛んでいく。ずっと明るい日の刺す方へ。

影法師がずっと伸びて、ちょっとだけ大人になれたみたいに感じる。真っ黒に落ちる自分の影は自分と同じような動きを繰り返す。まるで自分じゃないものが真似っこをしているようで、ちょっと面白かった。

まるで誰かを操っているみたい


「そうだね。」

無邪気な声。一人で歩いているのに、どこからかそんな声が聞こえた。見ると、影法師がニタニタと口を開けて笑っていた。

どこか不気味でどこか夢心地。今、起こっていることが信じられなくて、もう一度瞬き。ついでに頬もつねっておく。

けれど目の前の状況は全く変わらず、これが現実であると認めざるを得なかった。

真っ黒な墨絵のような影法師は、すうーっと抜けるように僕の目の前に並ぶように立った。

「僕はね、君の影。」

真っ黒な目鼻もないような物体が僕に問いかける。いやらしく粘つく笑みを崩さずに言うものだから背筋がすうーっと冷たくなるのは仕方がないだろう。

「君を悪いやつから守る役目をしているよ」

「悪いやつ?」

「そう。悪いやつ」


くっくっと子供らしからぬ声で笑う彼がなんだか優しく見えた。そっか。悪いやつから守るって彼はいいやつなんだ。

「ほら、急がないと日が暮れるよ」

彼のその言葉にはっ、とする。いつもの帰り道。目の前にいたはずの彼はもういない。相変わらず、後ろに影が伸びているだけだ。

烏が遠くに三羽連なって、日の刺す方へと向かっている。

1番星が輝き始めた空に、白いお月様が顔を覗かせていた。


僕はね、うしろにいるよ

少年は彼がそう呟いていたことをついに知ることはなかった。

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桜花 - 綺麗ですね。どう伝えたらいいのかはわからないんですけど、とても綺麗で、もっともっと読みたくなります。他の作品も覗かせていただきますね。 (2017年12月14日 20時) (レス) id: c1d7847deb (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - とっても面白いですっ!特に、気まぐれ暴風域にようこそが個人的にお気に入りですっ!更新、楽しみに待ってますねっ! (2017年11月14日 8時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年11月4日 2時

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