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雲海の隙間 ページ24

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ここは私の場所。私が住まう場所。現在、お仕えする神様が役目を終え、輪廻へ戻られた。

神様の生涯を終える方法は主に2つある。


1つ。自身の役目を別の者に託す方法。

2つ。自ら死を望み、自決した場合。


私の主人だった神様は後者の方法をとった。それはそれで構わないのだが、跡継ぎがいなければ、私が神様となるか、ただの妖怪へ成り下がるかのどちらかだ。ちなみにどちらもごめんだ。


しかし、それは跡継ぎがいな「ければ」の話。

率直に言うと跡継ぎを探せばいいのだ。


今はちょうど夏。里の子供たちが肝試しとやらに来る時期だ。おそらく目的地は私の住まう神社。ならば、その手前で霊力のある子供を抜き取ってしまえばいい。

我ながら良い「あいであ」にほくそ笑みながら、夜になるのを待った。


どうやら子供たちがこちらにやって来るようだ。様子を見るに人数は7人。ふふ。1人余りが出るな。

べろりと唇を舐め、透視のチカラで彼らの霊力を透かす。

1番霊力が高いのは最後尾の女の子。我ながら台本通りなのに身震いしながら、彼女に遠隔で術と周りに簡易的に結界を施した。

掛けたのは催眠術だから少女のカラダに異常はない。私と違ってほんのり温かい体温に思わず顔が綻ぶ。

宵が回って来たらしく、森一帯に霧が立ち込め始めた。私は彼女を抱いたまま、神社の近くの祠に移動した。

(ほこら)は神社を取り囲むように9つあり、結界の役目を果たしている。

私は祠のチカラと霧を使って、彼女を捕まえることに成功した。

つまりは神隠しをしたのである。


彼女は静かに目を開けた。しっとりと朝露のように光る目が美しい。鬼火を使って彼女を照らすと天女のように無垢だった。

焦点がパチリと合うとじーっと彼女に見つめられた。

「九尾狐?」

「はい。よくご存知でいらっしゃいますね」


訝しげに問われたが、彼女は見ず知らずの妖怪の腕の中だというのに警戒1つしない。彼女は本当に無防備だ。

「私はA。あなたは?」

「私には名前はありません。お好きなようにお呼びください。」


名前、か。昔の主人は様々な名前で私を呼びつけた。今となっては既に思い出。

「ねえ。狐さん。どうして私を神隠しに遭わせたの?」

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桜花 - 綺麗ですね。どう伝えたらいいのかはわからないんですけど、とても綺麗で、もっともっと読みたくなります。他の作品も覗かせていただきますね。 (2017年12月14日 20時) (レス) id: c1d7847deb (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - とっても面白いですっ!特に、気まぐれ暴風域にようこそが個人的にお気に入りですっ!更新、楽しみに待ってますねっ! (2017年11月14日 8時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年11月4日 2時

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