廃墟で何を想う 【オリジナル短編集】

eyeland ページ12

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眼球が宙に浮いている。ここはそういう類の生き物が住まう島。目玉たちはせわしなくあちらこちらを行ったり来たりしながら明確な意思もなしにうろついている。

初めて来た人は生物を見て大抵は気持ち悪がる。慣れれば意外と可愛いものだ。ピンク色や黄色、オレンジなど色彩豊かで大きさも様々だから見ていても飽きない。

数多の目玉たちには飼い主がいる。それは個人だったり、企業だったり、行政だったりと様々である。目玉たちには意思がないので完全に飼い主の言いなりだ。

目玉たちは飼い主のもう一つの目となりあたりを見ている。状態を俯瞰(ふかん)するその目にはやましさなど一切なく、私たちに純粋な輝かしい目で見つめてくる。

倉庫の影や、天井や曲がり角に潜むことが目玉たちは多い。気持ち悪がられるのに傷つき人に見つかるのが怖いのだ。人見知りな性格のある生き物だ。

もちろん見つめれば見つめるほどこちらを見つめ返してくる。一部の種類はそらされることもあるが、大抵は見つめてくれる。




ねえ、そこの君。僕が一体なんの話をしているかわかってる？


もしかして絵空事、なんて思ってないよね？



僕は君が今、住んでいる日本の話をしているんだよ。



宙に浮く目玉？そりゃあ、





防犯カメラ、監視カメラに決まっているでしょう？

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