白狐の焦燥 ページ6
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「忙しい」
彼女に逢えない日々が続いている。
会いたいのに、会えない。辛い、苦しい。
ゆきやこんこ。あられやこんこ。
どれだけ天が見放したとしても僕はあなたの元へと急ぐ。びしょ濡れになろうと、体の芯まで冷えようと。
ふっても、ふってもまだふりやまぬ。
あなたへの想いは雪のように儚くてそれでもまだ、あなたへの愛しさは止めどなく溢れてくる。
いぬはよろこび、にわかけまわり、
あなたの為ならば、野を越え、山を越え、川を越え。どれだけ険しい道であろうとあなたの処へ。
ねこはこたつでまるくなる。
僕の注ぐ無限の愛情で少しでも早くあなたを安心させたい。温もりを与えてあげたい。
とか。
本当に最近は働き詰めだったけど、近々あなたの誕生日だから、休みを取るために働いていたなんて言ったら驚いてくれるだろうか。
駅前で買った大きな花束とあなたの大好きなマカロンの箱を抱えながら。
一刻でも早くあなたの顔がみたい。この腕に抱きしめたい。
…久しぶりにあなたの寝顔を拝みたい。なんて。自分の気持ち悪さに大いに引いた。
一緒にいないと落ち着かない。
狐ではないのでずっと1秒たりとも離れず守り続ける。なんてできないが。
あなたの温もりを感じられないのも我慢の限界だ。
改札を降りた瞬間に傘も差さずに駆け出した。
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作者名:鵯 | 作成日時:2017年9月18日 11時