烏龍茶 ページ44
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サンドイッチに合う飲み物は烏龍茶に決まっている。紅茶のように甘ったるくなくて、コーヒーのように苦くはない。
「キミ、やっぱり変だね」
同じ部署の遊び人で有名な直属の上司が隣に来る。私にとってはこの人の方が変だと思う。
昼ご飯を忘れた為、近くのコンビニにきたのだ。今日はなんだかサンドイッチが食べたかったのでミックスのサンドイッチを手に取る。
丁度飲み物を手に取ったとき彼が隣に来たのだ。
「サンドイッチに烏龍茶？」
「はい。一番美味しい組み合わせだと思いますが」
上司は一瞬思案するフリをしてこう言った。
「キミ、やっぱり変だね」
これで冒頭に戻るワケだ。断じて変ではない。人の味覚にいちゃもんをつけないでいただきたい。
切れ長の瞳で牽制し、レジへ並ぶ。さっさと会計してコンビニの外へ。昼休みにあのクソ上司と鉢合わせとか運がない。次あったらシバいて肉の干物にしてやる。
会社のフリースペースでサンドイッチの包装と烏龍茶のペットボトルの封を切る。
ハムたまごを口に含み、烏龍茶で流し込む。相性抜群。渇いた喉に烏龍茶が染み込む。ああ。至福。
「直属部下のかわい子ちゃん、お隣いいですか」
目線を上げると直属上司。干し肉決定。
「イヤです。他をお当たり下さい、直属上司さん」
人当たりのいいその物腰はさぞかしたくさんの女性にモテることだろう。私は断じてコイツと昼食は摂りたくない。他を当たれ。
許してもいないのに隣に座りやがった。おもむろにレジ袋から昼ご飯を取り出す。上司は普通のコンビニ弁当。ああ。よりにもよって貴重な休み時間をコイツといっしょに過ごすとは。
「Es ist schrecklich.Du bist die Bestimmung von Trockenfleisch.」
(最悪。お前、干し肉決定。)
ぱちくりと瞬きする上司。お前、ドイツ語はさすがに無理だろう。
「君の養分になるならそれもアリかも」
は？女たらしがキラリとイケメンスマイルをかます。
烏龍茶から始まる恋だなんて笑えない。
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作者名：鵯
| 作成日時：2017年9月18日 11時
