塩漬けオリーブ ページ43
°
「まっず!」
恐ろしく不味い。爪楊枝の先の緑の物体を見ながらそう言った。今すぐ口を洗浄したい。これはオリーブではない。葛根湯だ。
そのレベルで不味いものを渡してきた彼女を見上げる。
「目、覚めた?」
花のかんばせで微笑む彼女は悪魔に違いない。半分涙目の俺を見つめてにっと笑う彼女はオリーブの入ったタッパーを俺の鼻に近づけた。
「うぉえっ。」
酷くキツイ臭いは鼻にダイレクトに入ってくる。彼女は笑いながら俺に答えた
「オリーブの塩漬け」
どうやら相当恐ろしいものを俺は摂取したようだ。そんなもの不味いに決まっている。バツゲーム以外では絶対に食べてはいけない。
けれど目が覚めたことは事実。そこだけは感謝しよう。こんな手荒い方法で起こさなくても良かったとは思うが。
「やっぱり不味いね〜」
彼女は俺から爪楊枝を奪い、塩漬けオリーブを口に含む。顔をしかめるが俺ほどまずそうには見えない。
それよりも。
「俺の爪楊枝で食べたってことは間接チューじゃん」
彼女は首を傾げると
「うん。チューしたかったの」
じゃあ、直接すればいいものを。
「だって塩漬けオリーブを食べた口とだよ」
「イヤに決まってる」
最悪の間接チューと一枚上手な彼女。塩漬けオリーブ、恨む。けど、寝た俺にはもっと腹が立つ。ああ。口を洗ってこよう。
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作者名:鵯 | 作成日時:2017年9月18日 11時