白兎の憂鬱 ページ5
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「寂しい」
構ってもらえない寂しさがだんだんと募る。
ゆきやこんこ。あられやこんこ。
白銀の世界でどこまでも、どこまでも続く白いベール。それは冷たくてあなたと私を阻む壁のよう。
ふっては、ふってはずんずんつもる。
あなたに逢いたい想いは私の心の中にだんだん寂しさに変わって募ってゆく。
やまものはらもわたぼうしかぶり、
あなたに逢うための道も白く凍って通ることはできず、あなたに逢うのもままならない。
かれきのこらずはながさく。
でもきっと春になれば、あなたに逢いに行ける。寂しく散って仕舞った私の恋を愛に変えてくれたあなたの元に。
なんて。
仕事を言い訳にして私を一人ぼっちにしているあなたに贈ってやりたい。本当は寒いの、人肌恋しいの。
私ってワガママだなあ。と思いながら、外を見やる。氷柱がバサバサと音を立て、崩れて行った。まるで私の期待が崩れるように。
頭をよしよし撫でて欲しい。抱きしめて欲しい。あなたに愛を注いで欲しい。
…久しぶりに酩酊に浸りたいなんて思ってしまう。自分の独占欲に若干引いた。
構ってもらえないと寂しい。
兎ではないので死にはしないが。
やはり、限界がある。
おでんを煮込みながら、そろそろ構ってアピールをしようと決心し、あなたの帰りを待った。
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作者名:鵯 | 作成日時:2017年9月18日 11時