おもちゃ箱の中【オリジナル短編】 (ページ40)

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100回目のおはよう。今が丁度100話目。3ヶ月の時を経てあなたは今ここにいる。

最初はなんとなく始まったこの物語。鮮烈なトップバッターのあのお話から様々な物語がここで紡がれてきた。

あなたは何度も死に、何度も生き、何度も狂い、何度も泣いた。恋にだって何度も落ちた。

けれどそれはページをめくるまで。ページをめくればあなたは既に別人に成り代わっている。

それは男性だったり、女性だったり。
少年だったり、大人の女性だったり。

会社員だったり、学生だったり、主婦だったり。

貧乏だったり、富豪だったり。

物語の舞台だって、朝だったり夜だったり。

夏だったり冬だったり。

様々、多種多様に平行線、放物線、時には交わったりしながらここで語られてきた。

ただあなたも僕もここは通過点に過ぎないことを知っている。

けれどもうすぐこの物語も終点へと急いでいる。おもちゃの汽車に乗りながら、ゆらゆらと揺られながら駅に少し止まっているだけ。

100話目くらいいつもと違うことをしてもいいでしょう。僕はどちらかと言えば記念は大切にする方なのです。

青い少年は笑う。時を告げる鳥の化身だとしても今回ばかりはあまり嬉しくはない。まるで人生を物質としてぞんざいに扱うのが気に入らなかった。

おや、ご気分を害されましたか。これはこれは申し訳ございません。若輩者が出すぎた真似を。

うやうやしく頭を下げられても嬉しくはない。ただ腹が立つだけだ。にこにこと上っ面の笑顔を崩さない少年は一礼して私の眼前から消え失せた。

ただ羽ばたいただけだ。彼は澄み渡った秋空に吸い込まれるようにいなくなった。