おもちゃ箱の中【オリジナル短編】 (ページ37)

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店員さんページ37

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秋物の服を買いにショッピングモールへ。なんだかんだで頭から爪先までコーディネートがそろうのだから便利なものだ。丁度今は秋物セールでどこもかしこも割引きやセールの文字がひらひらと踊っている。

カツンカツン。ヒールを床に沿わせて垂直に下ろす。できるだけ背筋を伸ばしてショウウィンドウに陳列されたマネキンたちを流して見ながら歩いていく。

一際目を惹くマネキン。スレンダーに着こなされた美しい組み合わせに思わず見惚れる。アレ、欲しい！

ふわりと蝶に誘われるようにお店の中に吸い込まれる。トップスもボトムも秋らしいデザインだった。白いブラウス、赤いロングスカート。定番の組み合わせなのにどこか大人っぽさというかシックさというか。

可愛い。

割引きを確認してレジへと持っていく。店員さんがチェンジをしていたところだったらしい。

「こちらにどうぞ」

長い金髪の男性が私に声をかける。パッチリしたアーモンド型の瞳が印象的な男性。なかなかカッコいい声。細い白い指がくるくると衣服を畳んでいるのがなんとも様になっている。ああ、イケメン。癒し。

営業スマイルをバリバリにかます店員さん。イケメンスマイル、頂きました！

カッコいいイケメンはある意味罪だ。だって私の憂鬱な気分が吹っ飛んでいく。

また、来よう、このお店。

ショッピングモールの出口に向かって一歩踏み出した。