余計 ページ35
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上司からの叱咤。タイピングミスした資料をワザと提出。タイプミスしていない資料はもちろん、パソコンの中に出来上がっている。
余計。人はそう思うだろう。けれどこれによって新たなタイプミスやもう一度最初から資料を見直すことができる。しかも怒られるのは嫌いではない。むしろ、好き。
私は人の愛仕方を知らずに育った。ただ一番上で両親が完璧に育てようとしただけ。ただ理想を詰め込まれただけ。スパルタ教育だった。
父母に褒められたことは一度もない。できて当たり前。失敗には罰を。けれど人間というのは酷な環境下にあるとそれを受け入れ進化する。
私も例に違わなかった。怒られることしかできない私は怒られることが好きになり始める。怒られることを愛と間違う。けれどそうしないとこの環境下では廃人化してしまう。いや、もう既に廃人なのだろうか。
そんなことは余計な考えだ、払拭しよう。
人間は一度味を占めるとやめられない。
私の場合、どうやったら叱られるだろうの一点張りだ。しかしあまりにも度がすぎると呆れられてしまう。だから、慎重に。
やっぱり余計に良くない。ああ。怒られたい、叱られたい、私をその人好みに調整してほしい。私の全部を否定して欲しい。
そんな人いないかなあ。余計な考えは余計に仕事効率を落としてくれる。そして余計に叱られる。なんと素晴らしい考えだ。頭がお花畑?余計楽しくなってきたね!
いや。ここで余計にやる気を出すと仕事が失敗してしまう。始末書ならいいがクビを切られると身近に叱ってくれる人がいなくなる。
ああ。それは困る。死活問題。ご飯に乗る梅干しがなくなるくらいの。なんで私はブラックに勤めなかったのだろう。行く場所、行く場所、全てホワイトなのだ。もしかしたら刺激が私にとって足りないだけかもしれない。
ああ。それは余計にマズイ。なんとかしなければ。今日も定時であがってしまう。
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作者名:鵯 | 作成日時:2017年9月18日 11時