おもちゃ箱の中【オリジナル短編】 (ページ34)

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変わった2人ページ34

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「またね」

花のように微笑んで消えていく。あんな味気ないのは正直好きじゃない。夢系女子はどうも苦手だ。いや。着飾りすぎだ、だいたい。

「あー、もしもし」

親友の彼女に電話を掛ける。面倒くさそうに腑抜けた彼女の声が帰ってくる。女子にしては珍しいテノールボイスが帰ってくる。イケメン。

「あの子あんましだった」

「あ。やっぱり？じゃ、次は違うコ紹介したげる」

実を言うと彼女とは恋人同士だ。けれど俺の浮気症が抜けずいつの間にかこんな風になっていた。彼女はなかなかのナンパ師であって3分で相手をお茶まで持って行かせる。そして自分のことはキープして相手に俺を勧めるのだ。

『友達なんだけど、紹介してもいい？』と。

俺も彼女に負けず劣らずのナンパ師。女の子と軽くお茶して、それから事まで持って行くのも造作ない。そしてぽいっと捨てるのも簡単だった。

実際彼女もすぐ捨てる人間だ。彼女の場合、男でも女でもそうであるから俺もいつ捨てられるかはわからない。おそらくは大丈夫だろう。

「ついでにお茶しよ、いつもの喫茶店だけど」

了解ももらい、店員さんにお茶を退かせる。

ちょっとしてから彼女が店内に入ってくる。彼女はしっかり作り上げた可愛らしい女の子の声で店員さんと話している。格好も女子とわかるようなものを着用している。茶髪ウィッグまで付けるという豹変ぶり。

「待った？」

周りの目を気にした様子で話す彼女。やっぱり彼女の演技はいつ見てもすごい。男をぎゅっと捕まえるような仕草を俺にもかましてくる。

今度の女装デートの参考にしよ。

彼女と俺はたまに性別を入れ替えてデートする。若干、俺の方が背は高いから困ることはない。

これはナンパ師2人の密会である。