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モカ&ラテ ページ25

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どちらも。なんて欲張りだろうか。私はそうは思わない。誰だって両方手に入れたいでしょう?

文武両道。趣味と仕事。昔から人は両立を好む。そう。恋と友情だって。


場所は馴染みの喫茶店。彼らは私の姿を見つけるとひらひらと手を振る。

幼馴染である2人はいつも正反対だった。例えるならそう、太陽と月。

文武両道ではあるけれどベクトルが正反対。球技が得意な太陽とそれ以外の種目の方が得意な月。

理系派の太陽と文系側の月。


明るくて元気な太陽と大人なミステリアス雰囲気の月。


けれど、恋慕のベクトルは同じようで。

机に入れられた薄紫の封書には二枚の手紙。


「夕方、いつもの場所で待っています」

一言一句違わずに綴られた達筆な字。二枚の手紙に苦笑しながら放課後を待った。


「待った?」

「待ってないよ」「ちょうどだね」


矢継ぎ早に2人から声をかけられる。2人の前には白いコーヒーカップに入れられた甘いコーヒー。けれど中身は似ているようで似ていない。

チョコソースがかかった生クリームが苦いコーヒーの温度にとろりと溶ける。くるくるとサジを回す手は健康的な年頃の男子だ。

もう一方は隣のカップと中身の色は同じだが、トッピングなどはなく湯気は出ていない。少しだけ浮いた氷のかけらが飲み物と同化する。カップに掛けられた手は病的な白さを誇っており、女子よりも綺麗な骨ばった長い指。ちょっと羨ましい。


「すみません。モカ&ラテ、一つ。」

私はどっちかなんて選べない。だってどっちも好きだから。ならば一つにまとめてしまえばいいんだ。

運ばれて来たのはアイスカフェラテの上に生クリームとチョコソースの乗ったモカ&ラテ。

口をつけると広がる吐きそうなほど甘い、甘い香り。


「「好きです」」

重なる声と混じり合った気持ち。

臆病で大胆な私は笑顔でしたたかにこう言うしかない。

「どっちも。じゃ、ダメですか」

楓→←幼馴染なんて呼びたくない



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作者名: | 作成日時:2017年9月18日 11時

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