幼馴染なんて呼びたくない ページ24
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「え?ああ、そう。」
何だよ。その単調な返事。もっとリアクションしてくれてもいいじゃないか。いつもはキリッとした大きな瞳が興味なさそうに細められている。鬱陶しいのか?もしかして。
「君って子犬みたいだね」
初対面で言われた言葉。同い年なのにずっと大人な彼女。それが背伸びしているようにも、鼻に掛けているようにも見えない。そう。ごく自然な感じで。
「何をジロジロと見つめているの。失礼よ。」
すぱり。誰に対しても辛辣な言葉。あーあ。そんなんだから高嶺の華なんて言われるんだよ。もうちょっとフレンドリーになった方がいいと思うよ。
けれど、意外な一面もあって。
「遊びに行くわ。ついて来て。」
はいはい。わかりましたよ、お嬢。というより俺はあんたの召使いかよ。そんなことを思っても心の奥底では結構嬉しかったり。
長年、一緒にいたからこそだと思うが彼女は実は表情豊かだ。ただ変化が微妙すぎて見分けるのが難しいだけだ。
今だって、ほら。
買い物一つで目を輝かせて。スタスタと背筋を伸ばし、胸を張って歩く彼女に付き従う。
側から見たら、お嬢と執事。
学校内では、幼馴染。
でも、俺は。君の横を堂々と歩きたい。今は君を追いかける世話焼きの幼馴染だけど。
いつかは。
今はこのままで。もう少しだけ幼馴染のままで。
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作者名:鵯 | 作成日時:2017年9月18日 11時