まんまるお月さま ページ23
°
カチコチ、カッチン。
時計が調子よく刻を刻む。よく眠れるように白湯を飲みながらふと思う。
「あれ。明日の朝ごはん、あったっけ?」
朝ごはん。と言っても大層なものではない。全く、に限りなく近く私は朝ごはんを食べないのだから。
けれどやはりないとお腹は寂しいもので。
「買いに行くか」
諦めて、羽織りものを探す。下は浴衣だから問題はない。お気に入りの財布をもっていざ出陣!
うう。寒い。やはり夜ともなれば寒さは一層厳しく身に染みる。ほう。と吐いた息が白く濁る。ぴゅー。と勢いを増す木枯らしに髪が掬われる。肌を刺す氷のような温度が爪痕を残してどこかへ行ってしまう。
しばらくすると最寄りのコンビニへ。いらっしゃいませー。と眠たげな男性が形だけの挨拶を投げかける。
いつもの朝ごはんを取り、飲み物と一緒にレジへ。背の高い人でサラサラの茶髪が特徴的。ホントに眠いのかまぶたが上下している。頑張れ。軽やかに告げられる精算結果。どこにそんな元気があるのか。いつの間にかシャキッと目を見開いている、その人。おお。プロだ。
ありがとうございましたー。と妙に語尾が間延びした腑抜けた挨拶を聴きながら店外へ。
またまた。寒さが肌をさす。
ふと。見上げた空にはまんまるのお月さま。
なんだかちょっとだけ温かいような気がしたそんな夜。吐いた息はますます白くなる。
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作者名:鵯 | 作成日時:2017年9月18日 11時