おとこのこ ページ20
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ふんわり笑うは私の彼氏。ただ可愛いだけ。ふにゃふにゃと笑う君に釣られてこっちも笑顔になってしまう。
彼は母性本能をくすぐるのがうまい。
「こないだねー、まかろん、つくったの〜!」
黄色い猫のぬいぐるみをこちらに向けて抱きしめている彼。ぬいぐるみの頭に顎をのせ可愛らしく微笑んでいる。
さすが、女子力高い、ショタ系癒し男子。作るものが私とレベルが違う。
黄色のティーカップに入った紅茶も現に彼が淹れてくれたものだ。テーブルに置かれているカゴの中のハーブ入りクッキーも彼の手づくり。
もっと言ってしまえば、ここは彼の家で彼の自室。けれど内装はメルヘン女子も裸足で逃げ出すような女の子ぶりだった。
彼は本当におとこのこ、なのだろうか。
ふと思った疑問。そりゃもちろん、彼は男性だ。保険証まで見せてもらったのだから間違いない。けれど笑い方とか、声とか、顔とか。照れたときに顔を隠す細くて白い指とか。
くるくるしてよく跳ねる茶髪を留めている、ネコのぱっちんどめとか。
「可愛いなぁ」
ふと彼を見て溢れた言葉。相手はびっくりした顔でパチパチとまばたきを繰り返している。
「おれが?」
こてんと首を傾げる彼に可愛さメーターなるものが私の中で急上昇を始める。
いいよ!可愛い!
溢れ出す感情を何食わぬ顔で押し込め、彼の言葉に頷く。
「かわいく…ない、もん!」
頬をぷう、と膨らまし唇を突き出すしょげ姿のなんと可愛いことか。そんなところも大好き。
今はそんな場合ではない。可愛い、可愛い彼氏様のお怒りである。
謝るも許してくれる気はさらさらないようで。
何を思ったのか私に抱きついてきた。あ、これはもしかして。
「かわいいっていっちゃだめ。」
涙目で見上げられたと思ったのもつかの間。
唇に触れる柔らかい感触。
一瞬だけ触れてすぐに離れてしまい、何をされたのかわからなかった。
けれど数十秒も経てば行為の恥ずかしさに気がついて赤面。
「かわいいのはきみのほう!」
ちょっと拗ねた顔で言われればもう私に勝ち目はなくって。
やっぱり彼もおとこのこなんだなあって。
そのあと、仲直りのちゅーをしたのはいうまでもない。
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作者名:鵯 | 作成日時:2017年9月18日 11時