鳥籠の窓から ページ11
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捕らえられ、自由を奪われたのなら。
実際に自由を奪われたことなどありはしない俺は全く想像がつかない。
もしかしたら気づかぬうちに自由を奪われてしまっているかもしれないが。
人はできたことができなくなると不自由だと嘆く。裏を返せば最初から不可能なことはできなくても何不自由ない。そういうものだ。
友だちがいないのも。外に出られないのも。
外の世界を窓からしか眺めたことのない俺は、外の匂いもノイズのメロディも知らない。
友だちだって同い年のコはいても使用人だし。
主従関係があるのは友だちではない。そんな一方的なものは仲間意識より、嗜虐心が生まれるものだ。
使用人の連絡を待ち、自分の世界に没頭する。
画面の向こうにはいつだって俺の世界がある。
俺の知らない世界が。
本来ならば俺の知らない世界が。
煌びやかな街。
行き交う人々。
ひしめき合う看板。ざわめき。
口々に溢れる言葉の花弁は重なり合い、不協和音を奏でている。
俺はそんな光景に没頭しながらも決して交わろうとはしない。そんなこと初からできるワケがないのだから。
ただ、傍観するのみ。
ネオンが尻尾を振ろうと。
暗闇で真紅の命が散ろうと。
鳥籠の中の俺に何一つできはしないのだから。
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作者名:鵯 | 作成日時:2017年9月18日 11時