木立は囲う/ osmn ページ30
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「いらっしゃい、待っとったよ。」
「こんにちは……？」
背の高いその人は妙な格好をしていた。ちんちくりんな赤い帽子に左右非対称の髪型。色取り取りのリボンに緑色のお洋服。糸目には笑みばかりが浮かんでいて瞳の色は見えなかった。彼は向こう側から大きな鉄柵を開けてくれた。黒薔薇の蔦が生茂る鉄柵は何処か不気味で彼の異国を彷彿とさせる衣装をより一層夢幻化させていた。
「こんにちは。挨拶出来て偉いめう〜。」
「？？め、めう？」
彼はそう言って私の頭を撫でた。この場所は何もかもが大きいので、当然彼からすれば私は幼子程の大きさしか無いのだろう。その証拠に頭を撫でられ、目線を調節された。彼の人の好い笑みを浮かべた顔が目の前に迫る。
「ほら、折角用意したんやから会場に行こか。」
「待ってる？会場？」
混乱に困惑する私に彼は構う事なく、私を抱き上げた。随分と久方振りに感じる浮遊感にくらりとするが、彼は私が落ちない様にしっかり抱きしめて鉄柵の内側に引き入れる。その瞬間、誰も操作していないにも関わらず、鉄柵が音を立てて閉まった。
「いやぁ、こうして来客があるのは久しぶりなんよ。」
「……？友人がいないの？」
別段友人がいないことは珍しいことでも何でもない。しかし、彼の口振りからするに来客が嬉しい様で、決して他種との交わりが嫌いな訳ではなさそうだった。ならば気の置けない友人が一人や二人いても良い気がする。それにしても此処は随分と静かでまるで現実世界と遜色無い世界に見えた。
「昔はおったんやけどな。」
「そう、なんだ。」
哀愁漂う声音が百年を巡る微風の様に柔らかく流れてゆく。彼の痛みや苦しみを完全には理解出来なかったが、その傷口を押し開いて膿を啜る様な真似をしてはならないことは理解出来た。彼の歩いていた小道はいつの間にか年季の入った風情ある石畳に変わっている。
「ほら、着いためう。」
「わぁ……！」
彼の言葉に合わせて前方に視線を落とす。其処には数十人は腰掛けられそうな巨大なテーブルと二十余りの椅子が置かれている。椅子の種類は三種三様で一つとして同じ椅子は無かった。その卓上には食べきれない程にスイーツ達が列挙し、一つの市街を形成していた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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鵯(ひよどり)(プロフ) - ちゆさん» コメント賜り誠に恐縮でございます。お気に召された様で何よりと存じます。あの頃が懐かしく感じますね。こちらこそ長きに渡りご愛顧ありがとうございます。これからも細々と書き連ねて参りますので、是非続編にもお越しくださればと思います。 (2020年7月20日 16時) (
レス) id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
ちゆ(プロフ) - コメント失礼致します。措定エートスに感銘を受けました。鵯さまの文章の中でも特にお気に入りです。わたしの一番のお気に入りは陥穽モラトリアムなのですが、それと並ぶ程です。いつも素晴らしい作品をありがとうございます。これからも陰ながら応援しております。 (2020年7月20日 14時) (レス) id: 6c19e7d8ad (このIDを非表示/違反報告)
鵯(ひよどり)(プロフ) - ぴよりさん» リクエストありがとうございました。御眼鏡に適った様で何よりと存じます。またのご閲覧お待ち申し上げております。 (2020年5月30日 8時) (レス) id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
ぴより - 早速読ませていただきました！鵯さまの書かれる、美しさの中に闇を感じる文が本当に大好きです！ありがとうございました！ (2020年5月29日 23時) (レス) id: b50fafb894 (このIDを非表示/違反報告)
鵯(ひよどり)(プロフ) - ぴよりさん» ご愛顧いただきありがとうございます。前作のは中々難産でした為、今回も大幅に時間を取らせて頂きますことご理解ください。リクエスト承りました。気長にお待ち下さいませ。 (2020年5月28日 8時) (レス) id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
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