◇陸 ページ22
｢鈴、寝ないんですか?｣
｢A様の帰りを待ちます故、幻太郎様はお気になさらず眠って下さい｣
｢………えっと、そんなに見られると気になる、んですが…｣
｢………申し訳ございません｣
噛み合っているようで、噛み合っていない会話。
座敷童子は顔を曇らせた。
(鈴は、我儘で、愚かな妖です)
愛しい存在に姿が認識された時、それで満足だと感じた。感じたはずだった。
けれど、座敷童子が願うのは‘会話’。
己が主と会話をしているところを見て、座敷童子も羨ましくなってしまったのだ。
聞こえていないのなら…。
座敷童子はそう思い、口を開く。
｢幻太郎様、鈴の話を………鈴がまだ、人間だった頃の話を致します｣
座敷童子は目を閉じ、静かに息を吸う。
そして、語り出す。
｢鈴は、病に伏せておりました。
家は貧しく、村に医者らしい医者なんていなかったので、鈴の両親は重荷になる鈴を手放すことを選びました。
病のせいでろくに歩くことも出来ない。
捨てられた山の中で、静かに息絶えると思っていた時に現れたのです。幻太郎様が｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
心春(プロフ) - 向日葵さん» 向日葵さん、コメントありがとうございます。｢真逆｣も読んで下さり真にありがとうございます。情景が浮かぶというのは最高の褒め言葉です。物語を書いていて良かったと思いました。今後も、何度も読み返したくなるような話を書けるよう頑張ります。 (2019年11月28日 9時) (
レス) id: ca589b7d76 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵 - 「真逆」から見ています。本当に文才が豊かな文章で、なん度も読み返しています。世界観が合致していて、情景が浮かぶような繊細かつ分かりやすい文章なのでとても読んでいて心地いいです！大好きです！ (2019年11月28日 0時) (レス) id: fffa39b09a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：心春 | 作成日時：2019年11月4日 19時
