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崇裕の近くにいる時この水晶がほんのり熱を持つのは、片割れと会した喜びかな。

特別な水晶やから、感情のひとつくらい持ってるかもしれへんしね。



「智洋、これは?」

「それは上の棚に……あ、やっぱええわ。こっちちょうだい」

「おん。まだ使うん?」

「のんくんが買うてきてくれたお菓子をね、大毅さまにもおすそ分けしようと思って」

「そっか」



小さなガラスに咲く立派な桜。その上にのんくんからもらった金平糖を乗せていく。

まるで色とりどりな桜の木みたいで綺麗。



「幻想的やね」

「崇裕もそう思う?」

「お砂糖とは思えへんわ」

「ね。こんなに綺麗なものを作れるなんて、人間はほんまに凄い…」



ほんまはガラスなのかも、って小皿に伸びる崇裕の手をぱちっと落とす。


確かめなくたって知ってるでしょう?

なんて冗談同士で笑いあったら、紫がかった金平糖をひとつ、崇裕の口へ運んだげる。



「ん、あまい」

「じゃあ、ガラスやないね」

「ちゃんとお砂糖やったわ。もいっこちょーだい」

「これは大毅さまの分やからあきません。袋のんを少し分けたげるね」



小皿を取り出して、もう一樹の桜にも色とりどりな花をいくつか置き、崇裕に渡す。

俺ら二人しかおらんはずの台所で、なぜか声をひそめて「もう少しちょうだい」って。


崇裕がお菓子をこんなに欲しがるなんて珍しい。



「ええよ。どんくらい?」

「望にあげる分。歌詞カード借りんのにさ、ご機嫌取っとかんと」

「なくても貸してくれるのに?」

「ん、でも、金平糖を智洋に渡すとき欲しそうな顔がすこーしだけこぼれてたから」

「え、そうやった?」

「智洋にあげるって意気込んで買うてきたから、見栄張ってたんよ。かわええやろ?」

「ふふ、かわええなぁ」



なるほど、それで声をひそめたんね。

かわええ子に二人でほっこり癒されて、洗い物も終わったことやし…と崇裕はのんくんの部屋に、俺は大毅さまの元に向かった。

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杏子(プロフ) - ebifuraistar73さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです!また少し待たせてしまうかもしれませんが、ゆっくり更新していきますのでこれからもよろしくお願いします! (2018年3月13日 14時) (レス) id: f0bc5c27fe (このIDを非表示/違反報告)
ebifuraistar73(プロフ) - 待ってました!公開する季節、ぴったりですね。ありがとうございます。 (2018年3月13日 6時) (レス) id: 747d322e1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子 | 作成日時:2017年9月6日 19時

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