8 ページ9
崇裕の近くにいる時この水晶がほんのり熱を持つのは、片割れと会した喜びかな。
特別な水晶やから、感情のひとつくらい持ってるかもしれへんしね。
「智洋、これは?」
「それは上の棚に……あ、やっぱええわ。こっちちょうだい」
「おん。まだ使うん?」
「のんくんが買うてきてくれたお菓子をね、大毅さまにもおすそ分けしようと思って」
「そっか」
小さなガラスに咲く立派な桜。その上にのんくんからもらった金平糖を乗せていく。
まるで色とりどりな桜の木みたいで綺麗。
「幻想的やね」
「崇裕もそう思う?」
「お砂糖とは思えへんわ」
「ね。こんなに綺麗なものを作れるなんて、人間はほんまに凄い…」
ほんまはガラスなのかも、って小皿に伸びる崇裕の手をぱちっと落とす。
確かめなくたって知ってるでしょう?
なんて冗談同士で笑いあったら、紫がかった金平糖をひとつ、崇裕の口へ運んだげる。
「ん、あまい」
「じゃあ、ガラスやないね」
「ちゃんとお砂糖やったわ。もいっこちょーだい」
「これは大毅さまの分やからあきません。袋のんを少し分けたげるね」
小皿を取り出して、もう一樹の桜にも色とりどりな花をいくつか置き、崇裕に渡す。
俺ら二人しかおらんはずの台所で、なぜか声をひそめて「もう少しちょうだい」って。
崇裕がお菓子をこんなに欲しがるなんて珍しい。
「ええよ。どんくらい?」
「望にあげる分。歌詞カード借りんのにさ、ご機嫌取っとかんと」
「なくても貸してくれるのに?」
「ん、でも、金平糖を智洋に渡すとき欲しそうな顔がすこーしだけこぼれてたから」
「え、そうやった?」
「智洋にあげるって意気込んで買うてきたから、見栄張ってたんよ。かわええやろ?」
「ふふ、かわええなぁ」
なるほど、それで声をひそめたんね。
かわええ子に二人でほっこり癒されて、洗い物も終わったことやし…と崇裕はのんくんの部屋に、俺は大毅さまの元に向かった。
193人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
杏子(プロフ) - ebifuraistar73さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです!また少し待たせてしまうかもしれませんが、ゆっくり更新していきますのでこれからもよろしくお願いします! (2018年3月13日 14時) (レス) id: f0bc5c27fe (このIDを非表示/違反報告)
ebifuraistar73(プロフ) - 待ってました!公開する季節、ぴったりですね。ありがとうございます。 (2018年3月13日 6時) (レス) id: 747d322e1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:杏子 | 作成日時:2017年9月6日 19時