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5 (side 神山) ページ6

聞こえる聞こえる。


りゅうくんの笑い声。

嬉しそうに調子を上げるのんくんの声。

そんな二人に「ふざけてると転ぶで〜」って、お兄ちゃんみたいに言う崇裕の声。


お買い物に出てただけやのに、その声を聞くと何故かホッとするような気持ちになる。



「おかえり」

「かみちゃーん!たっだいまぁ!」

「んわぁっ、のんくんあっつい!」



荷物とのんくんの体重全部を背中に抱えて、ずるずると引きずるように台所へ向かうと、後ろから崇裕の笑い声が聞こえてきた。

やめたりや〜なんて言う割に楽しそうなんやから、本気で止める気はないんやろう。



「望、神ちゃん潰れてまうやろ」

「俺がやんなきゃ流星がやってるくせに〜!」

「うっ…のんく、ほんまにつぶれるっ」

「んあ、ごめんごめん。神ちゃん小さいの忘れてた」

「小さないわ!もう…」



解放されて軽すぎるくらいの背中に崇裕がチョンっと触れる。

何か用事かなって振り返ったら、「店行く」ってだけ言うて台所を出て行ってしまった。

言葉足らずでも言いたいことがちゃんと伝わるのは、俺と崇裕の生立ちあってやろうなぁ。



「のんくん、買うてきたもん冷蔵庫に詰めてくれる?」

「ええよぉ!」

「りゅうくんは照史くん起こしてきてくれる?多分部屋で寝てるから」

「おっけ〜」



もうすぐ店仕舞いの時間やし、夕飯作り終えてしまおう。

大きめの鍋で湯を沸かし寝かせておいたうどんを取り出す。おん、我ながらええ出来。

打ち方といい麺の均等さといい、完璧なんちゃう?



「ふふふ…」

「神ちゃんまた一人でニヤニヤしてる〜」

「ご、ごめ…上手に出来たからつい…しまい終わった?」

「おん!次は何したらええ?」

「次はお皿の準備してほしいな」

「はーい。照史のだけ特大にする?」

「あはは、おかわりの手間が省けてええかもなぁ」



談笑しながらの用意は楽しくてええな。

のんくんの手がある分いつもより早く料理で埋まった食卓を囲む。

俺と崇裕、照史くんとりゅうくんとのんくん、それから…大毅さま。


ここに住むのは七人やけど、四季の誰かしらが家を開けるから全員揃ってご飯食べられた事は一度もない。


いつかは…なんてたまに、ほんまにたまーに思うことがあるけど、それはこの先も絶対に叶うはずのない夢のようなものや。

季節が巡らない時間なんて、一秒として無いんやから。

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杏子(プロフ) - ebifuraistar73さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです!また少し待たせてしまうかもしれませんが、ゆっくり更新していきますのでこれからもよろしくお願いします! (2018年3月13日 14時) (レス) id: f0bc5c27fe (このIDを非表示/違反報告)
ebifuraistar73(プロフ) - 待ってました!公開する季節、ぴったりですね。ありがとうございます。 (2018年3月13日 6時) (レス) id: 747d322e1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子 | 作成日時:2017年9月6日 19時

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