姐さんの部下は男性恐怖症【文豪ストレイドッグス】

姐さんの部下15 ページ19

中原中也side


いきなり出張の話をされ、次の日の昼頃には出立だと言われた。


こんな急なものはあるかと思うが、首領の命令は絶対だ。


急ぎなのだろう。


夜中、俺はAの寝ている医務室に訪れた。


姐さんがさっきまで居たが、もう寝てしまったのだろう。


多分明日、俺はこいつと話せない。


いや、明日からだ。

俺は気持ち良さそうに眠るAの髪を一束救い上げ口付ける。


自分でもなぜそんな行動をしたのかはわからないが、帰ってくるという約束だとこのときは思っていた。


そして俺は医務室を去った。






次の日



昼頃に支度を済ませ、部下の待つ車に乗る。


最後にあいつの声が聞きたかったなぁと今さら後悔するももう遅い。


部下「中原幹部、後ろから誰かが……。」


俺は後部座席から振り返り、目に入った光景に驚く。



Aがこちらに走っていた。


昨日あんなことがあったのに。

しかし車を止める訳にはいかない。

そのまま車は走り続け、ついに俺たちは顔も見えなくなった。

部下「大丈夫ですか？」

部下がなにを心配したのかは知らないが、

俺「ああ、大丈夫だ。」

と答える。



せっかく追ってくれたのだ。電話でもしよう。



電話をかけたものの、応答がなかった。



むこうが何を思ったかわからない、しかし俺は小さく車の中で



俺「……糞っ」


と漏らすのだった。


おそらくそれは電話に出なかったあいつにではないだろう。



自分の中のなにかにたいしてだ。


車はそんな俺を無視して走る。


外の天気はどんよりとした曇り空だった。

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