【wrwrd!】いつか訪れる偽りの幸せを。 (ページ2)

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『書記長様。本日も夜遅くまでお仕事お疲れ様でございます。』

「…まだおったんか、明日も朝早いんやしはよ寝とき。」

赤く紅色のマフラーをなびかせているのは、私の主である書記長様。

因みに今のお言葉は、トントン様からかけられるいつもの言葉だ。

しかし私の中に組み込まれたプログラムには、貴方が仕事を終えるまで側で支えるようにとなっている。

そのため今の私に、このプログラムに逆らうと言う考えは存在しないのである。

「Aは疲れたり眠くなったりせぇへんのか?」

『ありません。この身体が故障しない限りは止まることもないので。』

皆様の生きる世界は分からないが。

私達が生きる今の時代は、私のようなアンドロイドや機械が必須とされる時代である。

トントン様のような生身の人間ではなく、私達アンドロイドが戦地に向かうことが主流となる時代。

しかし人々は皆が私の事を"心"を持たない不良品だと言う。

今の時代は感情を持たないアンドロイドは使えない不良品だとみなされるのだそうだ。

"不良品"そう言われ、他のアンドロイドや私と同じ機械は悲しい?とか寂しい?とかを思うのだと言うが…

「まぁ、感情なんていざ持ったら持ったで大変やからな。」

「心なんてなくても、俺は君を使えない者や不良となるアンドロイドだとも一切思わないで。」

貴方の意見はきっと世間からは反しているのは理解しているが意見を変えるつもりはないとの事で

この世界の中で貴方だけは、絶対に私を不良品や使えない者と口にする事は一度もないのだ。

「その身体が冷えるかは分からへんけど…これつけとき。」

『………?』

トントン様はそう言うと自身のつけていた赤色のマフラーを取り、また自分に不器用な手つきで巻きつけて下さった。

私には人間の体温?と言うのだろかこれを感じる事はできないが

皆が言う感情だって分からないが

『…ありがとうございます。』

そんな私でも、これが貴方の"優しさ"というものであるのはわかるようになったのですから。

貴方様にこの、使い物にもならない小さな命を捧げるとします。

__偽りの書記長補佐__