姉弟。 ページ29
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そこは、一際静かな空間で雨の音が打ちつける音が聞こえてくる程であった。
自分の目の前には、
こんな酷い雨であるのに傘もささず、濡れて色が変わる程の少しシワの入ったスーツに眼鏡をかけた彼は…
目の前に立っている冷たい石と小さくあがる煙を
今日も彼はただ1人見つめていたのであった。
「…遅いやないか、シッマ。」
「…ん？なんや、見ない間に随分とすっきりした顔しとるやん。」
まるで彼は自身がずぶ濡れである事を
すっかり忘れているかのように、自分の足音を耳にしては相変わらずヘラヘラと笑った顔を向けた友人がいた。
他愛もない話をしながら、
また３人で何気ない会話をしているような感覚で掃除を行い…深く手を合わせてまた１年の報告を行なった。
「お前、ホンマに姉ちゃんにベタ惚れやったんやな」
「…なっ、！！た、確かにシッマの姉さんはその優しくて…明るくて…その、綺麗で…」
「くっ…、っ…はぁ、参った。降参や降参」
「あぁ好きやったで、シッマの姉さんの事。」
弟のシッマをふかーく！溺愛してたから俺は全く振り向いてもらえなければ、見向きもされなかったけどな！！
負け惜しみのような吐き捨てるような言葉を苦笑しながら交わす。
「世には沢山素敵な女性はおる、でもなんでか…俺はシッマの姉さんが一番素敵な方やと…な？」
「…シッマと同じく俺も、前に進むで。そのうちな？」
いつも姉ちゃんの命日は雨であったが。
今日、たった今初めて快晴が見え始めたで。
これも俺らが前に進む決意ができた事を姉ちゃんが感じ取ったからなんかな？
__なるほど、全てお見通しという事なんやな。
「…それでぇ？その肝心な弟君はどうやら大切な女性ができた雰囲気やけど…そこ辺りしっかり聞かせてもらうで？」
「…な、なっ…なんで、五月蝿いわ！何処で見かけて…と言うかはよ帰るで！」
はよ帰るで、
そう口にし友人を押すように騒がしく帰る中
最後にもう一度だけ振り返り…
「姉ちゃんまた来るわ。今度、紹介した人がおるからな。」
少し最後は照れくさそうに小さく手を振る彼の背中は
初めて見た時よりずっと大きくて強くて…
変わらず沢山の優しさが詰まっている。
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気をつけてね
いってらっしゃい、シッマ。
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偽りのお姉ちゃんでも愛はある。
Fin
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空白(プロフ) - お久しぶりです😭そして更新ありがとうございます!!大好きな作品なのでなかなか更新されなくて心配しておりました。またこの物語を見れるということに感動してます。今後とも更新待ってます。 (2022年3月19日 21時) (
レス) @page25 id: 996078a51c (このIDを非表示/違反報告)
sora鬱(プロフ) - あ"ぁぁぁぁぁぁぁ、目から滝がぁ…、これからも応援させて頂きますぅ！！ (2021年5月21日 22時) (レス) id: bcac0815df (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - なんとなーーーく、予感がしていたのですが的中……二人とも幸せになってくれ…… (2021年5月18日 15時) (レス) id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
美海(プロフ) - ああああぁぁ二人とも幸せになって……(´；ω；`)これからも応援してます！ (2021年5月16日 19時) (レス) id: d8d8e5f403 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - だめやぁぁぁ。番外編でも泣いてまうぅぅぅぅ…本当に好きです。これからも応援してます！！！！！ (2021年5月16日 6時) (レス) id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
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