Still Love You

33.F ページ33

宏光の声がして瞼を開けた。


真っ赤な瞳をした宏光の顔がすぐそばにあった。

太「ひろみつ…
北「…大丈夫か…。」

太「うん。

北「…。

宏光との距離感に、
一気に現実に引き戻された。

太「ゆめ…だったのか…」

北「…ゆめ？

太「…なんでもない。迷惑かけてごめん。」
北「…

太「本当にごめんね…。」
北「…

宏光の赤く疲れた瞳を見ているのが辛かった。

太「来てくれてありがとう。もう大丈夫だから…。
早く帰って。…ごめんね、宏光。」

北「なんで謝るんだよ…。

太「だって、俺がめいわくをかけ…

北「迷惑ってなんだよッ、ごめんってなんなんだよッ！

太「ひろみつ…

北「オレがお前のことを心配するのがそんなに迷惑なのかよッ、
オレは、お前の心配すらしちゃいけねえのかよッ、
なんで、
…なんで早く帰れとか言うんだよ…うっ…うぅっ、」

宏光の真っ赤な瞳から雫がこぼれた。

太「ひろみつ…？

北「オレは…やっぱりオレは…」


コンコンッ、
ガラッ。

マ「藤ヶ谷 さん、どうですか？」

宏光は目頭を拭い、サッと俺のそばから離れた。

マ「気分はどうですか？！痛むところは？！」

太「大丈夫…です。」

北「…。

マ「北山さん、明日の仕事の件で少しお話が。」
北「はい…。」

マ「藤ヶ谷 さん、なにかあったらコールボタン押して下さいね、すぐに戻りますから。」

太「うん…。」

マネージャーは宏光を連れて外へ出た。



太「宏光…。」


宏光…。俺は宏光しか愛せない。

この手で、そのあたたかさに触れることができなくても。

ずっと愛しているから。


部屋を出て行く宏光の背中を見送りながら、
その背中に想いを込めた。

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