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捌の巻 ページ9






こいつは何を考えているのだろう。

私がしたことと大大名の発言を比べて考えを巡らせる。

「ダメか?」

こいつは私を欲しているのか?いいや、違うか。体的には欲していないだろう。

となると、私の性格や素性をもっと知りたい。言葉通り「興味を持った」ということになるのだろう。

これから先の私の態度次第では、買ってくれるかもしれない。

「ええ、喜んで。」

「そうか、お兄ちゃん。この女の子、大丈夫?」

「え、ええ。はい・・・どうぞ・・・」

こいつ少し気づいているかもしれない。さっきから大大名をとても気にしている。

「では、こちらへ。」

気づかれぬうちに早く逃げねば、大大名様が危ないからな?







「俺の気持ちを知ってか知らぬか。お前は本当に頭が良いのだな。」

「お褒めいただき、光栄でございますわ。」

そういうと、大大名は私の肩にそっと手を置いた。

「猫は被らんでよろしい。俺の前では普通でいい。」

あっちゃー、ばれてたか〜。というか、相手のことをあげておきながら、こいつも相当な頭脳の持ち主のようだ。

切れ長の目の奥の翡翠が捉える。まるで獲物を狙うかのような、武士の目だ。

「そうですか。貴方も本当に頭が良いのですね。大御所様の前で堂々と吉原批判を。」

「ははっ、皮肉か?俺が見込んだお前だ。名は何と申す?」

武士の目から一転して、普通の若者の目。なかなかの美男だ。

まぁ、性格は相当にひねくれているようだがな。

「津々楽和歌と申します。貴方様は?」

「お前、本名は言わない性格か?まぁ、いい。俺は浦田渉。それと、俺は大大名ではない。まだ家督は継いでいないからな。」

大大名ではないのか、これは失敬。まだこの年で家督を継いでいないとは。

と、性格がひねくれているのは私もか。本当の名を教えない私の方が。

「・・・・・・・・貴方様とは真底気が合いそうです。」

「奇遇だな。俺も今そう思った。」

お互い目を合わせて小さく笑った。

吉原の夜はまだ続く。

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設定タグ:歌い手 , 和風 , 浦島坂田船   
作品ジャンル:恋愛
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イチゴミルクキャンディ@サブ垢(プロフ) - PE@みたらし団子バカさん» わー!ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月18日 19時) (レス) id: e98fc17c66 (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - 更新頑張ってください! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - これは私の好きな種類の話だ! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
いまりちゃん - もでらーと。さん» ありがとうございます!!(パソコンから返信しています。)そしてそしてもでらーと。様は様々な小説を書いていらっしゃるのですね!お星さまが坂田さん色で憧れます(笑)更新頑張ります! (2019年8月3日 22時) (レス) id: 42f8b00619 (このIDを非表示/違反報告)
もでらーと。(プロフ) - おもしろいです…!私、歴女&crewなので超嬉しい組み合わせです!更新楽しみに待ってます! (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5d5b1bd419 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イチゴミルクキャンディ | 作者ホームページ:プロ野球  
作成日時:2019年7月20日 20時

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