ソレヲ人ハ恋ト言ウ

伍の巻 ページ6

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「渉殿、ここが吉原じゃ。」

ふーん。ここが吉原か。思ったよりきれいな街だな。

もっと遊女とかが練り歩いて誘惑する感じかと思ったけど、そんな感じじゃないんだな。

「今は昼見世の時間じゃろう。可愛い花魁と遊女がいっぱいおるぞ〜！」

「ははは・・・楽しみですねー」

それにしてもこのおっさん、元気すぎんな。もういくつだよ。孫いんだぞ孫。

ていうか詳しすぎんだろ！！絶対通ってんだろ！！政治に女に・・・いつ寝てんだ？

重い足をなんとか動かし、家康様の後を追った。

あ、言っとくけど、別に家康様のことが嫌いなわけじゃなんだからな。尊敬はしているんだからな。






「ついたぞ渉殿。」

自分が思い描いだように、ついた瞬間にきゃあきゃあしだす遊女と花魁。

うるさい。すごくうるさい。

「ねぇあの人男前じゃない？」

「ほんとだ、かっこいい〜！」

「私、狙っちゃう！」

まだこっちがなにもしてないのによく「狙っちゃう！」とか言えるよなぁ。

明らかに馬鹿そうな女は嫌いだ。馬鹿は坂田だけでいい。

「ほら和歌！見ないと損よあんな男前！」

「いや別にいいから。私花札やってるから。」

ただ、和歌＿＿＿＿＿＿＿と呼ばれた女だけは違ったようだ。

漆黒の目か。気持ちが良いくらい真っ黒な目。ここまでなにもない黒目は初めてだ。

そして目が合った。よーく見るとなかなかの美女だ。なのに男には興味がないのか？

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿同じだな、俺と＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「こちらはなんという遊女だ？」

「はっ、渉様。肩を出していらっしゃるので下級遊女かと。」

下級遊女、か。遊女らしからぬ遊女だ。まるで吉原にいるのを望んでいないような。

誰にも抱かれたくないような雰囲気すら感じられる。遊女には全くもって向いていないだろう。

なのになぜこいつは遊女をやっているんだ？なんという名前なんだ？どこ出身なのか？

初めて女に興味がわいたかもしれない。こればっかりは家康様に感謝だな。

「わかった。ありがとうな。」

「渉様！なにを＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」

家臣の止めを振り切り、他の遊女を見渡した後に和歌と呼ばれた女に目をやって俺はこう言い放った。

「お前、吉原で生きてて楽しいか？」

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