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弐の巻 ページ3






いよいよ、うかうかしていた物も落ち着き、昼見世の時間が近づいてきた。

いつものように化粧をし、ごてごてと飾られた着物を着る。

肩を出すのは下級遊女の特徴だ。露出しなければ客が来ないからだ。

「藍、濃くない?」

「和歌がいつも通り過ぎるの。みんな今日は張り切っているのよ。」

そんなに大大名と大御所が気になるかと思った私はどうも感覚がずれているらしい。

「さぁ昼見世よ!今日は思う存分色気を出さなきゃ!」

張り切る藍を横目に、私は少し微笑んだ。






今日の昼見世はやはり人が多い。

大御所の警備やらで吉原がごった返している。勿論、野次馬もきちんと連れてきて。

花札や和歌を楽しむ遊女や花魁も、今日はちらちらと外の様子をうかがっている。

「みて!あれが大御所様と大大名様よ!」

指さす方向に私が目をやると、身なりを整えた大御所と大大名が並んで吉原に入っていった。

大御所はまるで品定めのように女性を見物しているが、大大名はあまり乗り気ではない様子だ。

もしかして、こいつ女に興味がないのか?

「大大名様、なかなかの男前じゃないかしら?」

「それ、あの人の正室になれたら玉の輿も夢じゃないわよ!」

大大名はなかなかの男前らしく、まわりの遊女や花魁どもはそっちに目がいっている。

目は口程に物を言う、ということわざ通りに。

「どうじゃ、渉殿。なかなかの美男美女ぞろいだろう?」

「ええ、家康様。さすが吉原ですね。」

きゃあと周りの遊女が騒ぐと、私は大大名と目が合った。

翡翠の目をした彼がこちらをとらえて、離さない。

「こちらはなんという遊女だ?」

「はっ、渉様。肩を出していらっしゃるので下級遊女かと。」

下級下級って、うるさいな。身分が下なのがどんだけ悪いのか。

が、渉と呼ばれた大大名は家臣を振り切り、私をまっすぐ見つめてこう言った。

「お前、吉原で生きてて楽しいか?」

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設定タグ:歌い手 , 和風 , 浦島坂田船   
作品ジャンル:恋愛
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イチゴミルクキャンディ@サブ垢(プロフ) - PE@みたらし団子バカさん» わー!ありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月18日 19時) (レス) id: e98fc17c66 (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - 更新頑張ってください! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - これは私の好きな種類の話だ! (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
いまりちゃん - もでらーと。さん» ありがとうございます!!(パソコンから返信しています。)そしてそしてもでらーと。様は様々な小説を書いていらっしゃるのですね!お星さまが坂田さん色で憧れます(笑)更新頑張ります! (2019年8月3日 22時) (レス) id: 42f8b00619 (このIDを非表示/違反報告)
もでらーと。(プロフ) - おもしろいです…!私、歴女&crewなので超嬉しい組み合わせです!更新楽しみに待ってます! (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5d5b1bd419 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イチゴミルクキャンディ | 作者ホームページ:プロ野球  
作成日時:2019年7月20日 20時

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