図書委員の松村くん (ページ7)

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図書委員の仕事は本来当番制。

朝と昼休みと放課後の3回をクラスごとにローテーションで回していくのだけど、司書の方が在中しているからサボっている委員が殆ど。
というよりサボれるから図書委員になる人が殆どなのだ。

私も松村くんもほぼ毎日図書室を利用しているから、自然とそのままカウンターの方でゆったり読書をする。

その流れで貸出作業をしたり、司書の仕事を手伝ったりしている。

つまり私達は毎日他の委員の分の仕事をしている。

｢いやー本当に2組がいて助かったよ｣

二宮さんは、私達のことを物好きだと言う。

｢毎年どうしてたんですか…｣

「ここ数年俺一人細々と仕事してたけどね。」

司書の二宮さんは毎回そういいながら奥の作業室に籠って別の作業をしている。

図書室の奥の方にその司書室があって、1回お邪魔した時があったが、1人がけのソファやゲーム機、トースター、コーヒーメーカーなどが置いてあり、ほとんど二宮さんの部屋と化していた。

｢あの人、今までの縛りから解放されて委員と同じようにサボりだしたね｣

｢…自分がいなくてもいいって思ったらそりゃサボり出すよね｣

｢来年あたり俺らもああなるかな｣

｢ならないでしょ〜｣

来年、俺ら、というワードになんだかじんわりと胸が膨らむ。

｢私ちょっと勉強してていい？｣

｢いいよ、俺も本読んでるし｣

カウンターの椅子に鞄を置いて、英語のワークを取り出す。

しばらくお互い無言で作業をしていたが、突然松村くんが私の隣の椅子を引いて座った。

カリカリとシャーペンを走らせる手が少し止まってしまったので、何事も無かったかのように続きを書く。

松村くんが覗いてきているのがわかったから、なんだか緊張して、思わず顔を上げて目を合わせた。

すっとして、でも柔らかな目が、私の目を捉える。