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｢おい｣
声をかけると寝返りを打った。
｢…んん｣
｢地べた直接はやばいだろ｣
退けよ、と言おうとしたけど、口から出たのは違う言葉だった。
うるさそうに顔を顰めてからやっと目を開けた。
｢…え、｣
しまった、というような顔で俺を見上げる。
｢…俺いつもここ来てるから別にチクッたりしないし。｣
｢そ、そうですか…どうも｣
Aはのそりと起き上がって、そのままどこか行こうとした。
ので、俺は慌ててそれを引き止める為に手を引っ張る。
手首の出張った骨が妙に痛々しい。
｢ぅわ｣
｢今昼休みだから、多分そこの階段下人がたまってる｣
｢あ、すみません｣
そのまま気まずい空気が流れる。
俺はそのまま柵にもたれ掛かるように座って持ってきたパンの封をあけた。
｢あんた昼は？｣
｢え、いや、まだ｣
Aがいい切る前に俺は持っていたもうひとつのパンを投げた。
｢あ、りがとう？｣
｢お前Aだろ？2年の｣
｢はい…｣
｢教室行かねえの｣
｢居心地悪くて｣
｢桜木先生のやつってマジなの？｣
なんの気遣いもなく聞いてみたら、Aはなんの動揺もせずに顔を上げた。
｢だったらなんですか｣
｢いや興味あるから｣
｢私は、何もしてませんよ｣
勝手に付きまとわれてただけです。
そういったAは、冷めきった目をして笑っていた。
｢…きょも？きょーーも！｣
｢…え？｣
Aとの出会いを思い出していたらどっか行ってたみたい。
樹が眉間に皺を寄せてため息をついた。
目の前のうどんが冷めてしまうから早く食べちゃおっと。
｢なーにぼーっとして。Aちゃんとの関係聞いてるんだけど〜〜｣
｢あー、しらない。Aに直接聞いてよ｣
｢ケチ｣
｢ねー樹エビフライ1本ちょうだいよ｣
｢は？3本しかないのにってもう取ってるし｣
｢うどんの汁あげるから｣
｢いらねぇよ！｣
｢じゃあ戻してくる｣
｢あやっぱちょっと飲む｣
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作者名：春野 | 作成日時：2021年12月10日 21時
