【RKRN】鬼才なアイツは先輩が苦手【男主】

第二十五話 ｰ狼達ｰ ページ33

助けてください。

切実に思う。

何されているかって？


「A、ここはどうだ？」

「えー、こっちの方が良くない？」


い組の二人がめちゃめちゃ俺の体を擽ってくる。

しかも何か手つきがいやらしい。

何でこうなったのか、俺にも良く分からないけど確か俺が変な声を出した時に･･･


『喜八郎だけではズルいぞ。この私も一緒にやる。』


みたいな事を言ってた様な。

何で俺ばっかこんな目に遭うのかなぁ･･･。

俺、少しだけ女子っぽい顔立ちだとは思うけどそんな事行ったら田村君とかモロ女子じゃん？


そんな事本人に言ったら一瞬で花火にされそうだけど･･･。


と、こんな余裕をぶっこいているけど実は結構やばい。

い組の二人の擽りがゆっくりになったり速くなったりと、感覚が可笑しくなってしまいそうだ。


顎下にふあっとした感覚が襲う。
背筋がゾワッとした様な気がする。


「んぅっ！？」


言葉にならない音が喉から発する。

少し、彼らは驚いたのか一瞬だけ手の動きが止まる。


と、今まで静かだったろ組の二人がこんな事を言い出す。


「･･･喜八郎、滝夜叉丸。俺も参加して良いか？
何かAを見てるとムズムズしてくる。」

「わ、私もだ･･･。」


俺の本能が危険を察知する。
後の救いは同室のタカ丸さんだけ･･･、


そんな俺の淡い期待は見事に裏切られてしまった。


「A、ごめんね。
俺もちょっとヤバいかも･･･。」


タカ丸さんの一人称が"俺″になっている･･･。
しかも、髪結いの時とはまた違う、少しギラついた目をしている･･･。


逃げたい。
だけどここは浴場だ。ヘタをしたら滑って転けて頭ゴンだ。

そんなダサい事なんて俺はしたくない。

そうこう考えているうちに五匹の狼は俺に近づいて来る。


ぴたっ


俺の肩に誰かが手を乗せた。

その手が首を通って耳の裏へと移動して行きそこを擽る。


びくっ


体が震えた。




田村君、浜君の二人は俺の両足を掴み、足裏を擽る。

田村君は少し意地悪な顔で。
浜君は顔を少し紅くするが雄っぽい顔で。

足裏なんて擽りが最も効く場所三位内に入ってそうな場所だ。

そんな所を一気に責められると笑わずには居られない。


「あはっ、あはははっやめっ、やめろよ！！」


静かなこの場に俺の笑い声だけが響く。

普段ならこの笑い声は浜君なのに、今日は俺という。


何か不思議な感じだ。

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