主大好き打刀に成ったのでサッカーをしながら主を探そうと思う (ページ5)

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そんな長谷部を見た絵心はため息を零すと「いい。お前にサッカーの面白さを叩き込んでやる」と園にある空気の入っていないぶよぶよなサッカーボールを持ってくる。
長谷部はサッカーが出来ること、そして絵心が対応してくれた事に喜びながらやっとサッカーを始めるのである。

「お前、本当に初めてか？」

絵心とサッカーを初めて少し。
動きを止めた絵心は長谷部を見つめながら袖で汗を拭う。長谷部は「あぁ」と頷くとその場でリフティングをポンポンと軽く行うのだ。
幼稚園児が簡単にリフティングをする様子に絵心は何かを考え始める。リフティングを終えた長谷部は空を眺めながら待つ。考え事を始めた絵心は話しかけても無駄である。なので待つ。

「才能と関心は一致しないな」
「？」
「こちらの話だ」

考え事が終わったらしい絵心は笑いながら長谷部の肩を掴んだ。長谷部は良く分からないけど絵心が興味深そうにニヤニヤしていたので笑っておいた。
「とりあえず笑えばいいと思うよ」とは大和守安定の言葉である。長谷部が上手く相手と話せないと相談した時の言葉である。

長谷部は安定の言葉を心のノートに綴っている。分からない事やどうでもいい時はとりあえず笑ってすませる。
そうすれば勝手に相手が次の話題に行くので結構使えるのである。絵心は自分の考えを結果だけで伝えてくるので
長谷部は絵心が難しい話をしだしたらとりあえず笑って頷く事にしている。話を聞いていないのだ。

「分かったか？」
「あぁ」
「よし。じゃあ行くぞ」

長谷部は絵心とサッカーをするようになってクラブチームに所属するようになった。絵心の入っていた所で、彼の紹介で長谷部も入団したのだ。サッカーの面白さを叩き込むにはもっと本格的に触れなければいけないと引っ張られたためでもある。

長谷部は元刀剣男士として高い身体能力を有していた。
戦況を見極める為に視力は常人よりも優れており、その脚からでる機動力で先陣をきることも少なくはなかった。
そんな長谷部が子供の中に入ったらどうなる？
目標の為、ひいては主の為に手加減なんてものを知らない長谷部は他を引き寄せない子供らしくないプレーで『天才』と呼ばれるようになったのである。

子供ながら絵心の尖ったパスを受けるのはいつも長谷部だった。スイスイと人の隙間を抜けシュートを決める。
なんだ、意外と簡単だなとGKを抜いてネットを揺らす様子を眺めた。