主大好き打刀に成ったのでサッカーをしながら主を探そうと思う (ページ3)

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父は突然サッカーをしたいと言ってきた我が子に視線をやると「お。いいぞ。プロになって父さんを養ってくれ」とガハハと笑う。父の手には酒があり、その頬は赤い。
気持ちよく酔っているのだ。しかし長谷部はそんな父の言葉をそのまま受け取ると「分かった」と頷いた。

主を探すついでにプロになって父と母を楽にさせてやろうと思った。俺なら出来る。だって俺だし。
長谷部は突然出来た目標にワクワクしながらカレーを一口。なになに？と父のツマミを持って現れた母に「俺がサッカー選手になって父さんと母さんを養ってやろう｣とニコー！と笑いながら宣言する。

母は「養って貰わなくても大丈夫だけど、アンタのやれるとこまでやってみなさい」と端に寄せていた人参を箸でつかみ長谷部の口元に持ってきた。
長谷部はグと顔を顰めるけど父が「お、まずは好き嫌いからなくすことだぞ。プロになるなら食事の管理はしっかりしなきゃだからな」と笑う。

長谷部は主を探すついでにプロになると今しがた決めた目標を遂行する為に嫌いな人参を克服しなければいけないらしい。長谷部は人参が嫌いだけど、プロになるなら人参を食べなきゃいけないのだ。長谷部は顔を顰めながらも一度決めてことはやり通すのがへし切長谷部だと思っているので人参をパクと食べる。

人参を頑張って食べた長谷部に父は「よ、日本一」と頭を雑に撫でる。
母はそんな二人をみて幸せそうに笑っていた。
長谷部は「まずい」と眉間に皺を寄せながらもまだ残っていた人参をゆっくり食べる。

待ってて下さいね、主。
俺はサッカー選手になって貴方を探し出してみせます！と涙目になりながら長谷部は手を握りしめた。
まず、サッカー選手になるにはサッカーを始めないといけない。確か同じクラスにサッカーをしている子がいたはず。名前は確か、

「絵心甚八」

所変わって、幼稚園。
長谷部は砂場にしゃがみこみ砂のお城をつくっていた絵心に声をかけた。
絵心は突然現れた長谷部を見上げると首を傾げる。
なにかな？と思っている顔だった。
長谷部は絵心の隣にしゃがみ込むと秘密を共有するように耳元に口元を寄せると「サッカーとやらを教えてくれないか」と呟く。絵心は「サッカー？」と繰り返した。