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この体は小さすぎる。
長谷部の責任は全て大人の責任にすり変わってしまう。
これじゃ一人で自由に出来ないじゃないの。長谷部のクラスを担当していた先生が長谷部が脱出した経緯を母に説明しながら謝罪をしているのを見ながら思う。五歳児の長谷部はまた更に園長も出てきて母に謝罪をしている様子を眺めてフンと鼻息を荒らげるのだ。
前世の長谷部は亜種と呼ばれる通常のへし切長谷部とは違ったへし切長谷部だった。
人間が入っているから当たり前なのだが、本来のへし切長谷部の性格より少々元気というか突っ走りやすいやつだったのだ。そのおかげで初期刀殿がいつも長谷部の隣にいた。
いい加減にしてくれと睨む初期刀殿を横目に長谷部はどうでもいいのでプリンを食べてた。初期刀殿は言っていた。
「動く時は誰かに伝えろ。相談しろ。一人で決めるなアホハセ」と。
「アニョハセ?」と突然の韓国語に思わず反応した長谷部に「アホな長谷部。アホハセ」と言う初期刀殿も初期刀殿できっと変わっていたのだろうなと今では思う。
母は長谷部の頭を乱暴に撫でながら笑っていた。
そんな母の隣でキリッとした長谷部はヨシと誓った。絶対に主を見つけてみせる。こんな混ざりものの長谷部をお前はお前だろうと認めてくれた主の為に。だってへし切長谷部ってそういう主大好きな奴でしょう?
長谷部はへし切長谷部じゃない。だから誰よりもへし切長谷部に成ろうと必死だった。
主命大好きな奴。長谷部はそんな奴に成らなきゃいけない。だってそれがへし切長谷部なのだから!
こうして長谷部の主を探せ!が静かにスタートしたのである。
確か、主は体を動かすのが好きだった。
長谷部は父の見るサッカー中継を眺めながらピン!と思い出した。前世を思い出した長谷部はとりあえず自分の出来る範囲で主を探してみた。
しかし子供の身で探せる範囲は限られたものなので結果は見つからず。落ち込んでいた長谷部はお肉のゴロゴロはいったカレーを食べながらコレだ!と思ったのだ。
主は運動が好きだった。
白と黒のボールを使った遊びをよくしていた気がする!
長谷部は人参を皿の端っこに寄せながら「サッカーがしたい」と父に伝えた。
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作者名:やや強め | 作成日時:2023年7月5日 0時