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家に帰ると、玄関の鍵が開いており、見慣れた革靴が置いてあった



「おかえり。つか、悪い。何の連絡もなしで」




会いたかった、とぎゅうっと抱きしめられる


私もだよ、と精一杯の力で抱きしめ返す


宏光さんの全てを噛み締めるように



「連絡しなくて、ごめん。どういう顔して会えばいいかわかんなくて・・・」


「大丈夫だよ。この前のことは気にしてないから」




子供をあやすように、抱き締めたまま優しく背中をさする




当然気にしてないわけじゃない


けど、今日奥さんと会ったことで、決心はついている




「ほら、お腹すいたでしょ?すぐ作るから食べよ?」


「飯なんていいから_____」





そう言われ、真っ直ぐな視線で射貫かれる


そして、あと何回できるか分からないキスをする





名残惜しく唇が離れていく


視線で追った唇が開くと






「・・・家族がいないって、初めて知った」




え、どうしてそれを?


知ってる人はいない_____




「たいちゃんか・・・・」


「藤ヶ谷に言われた。そんな大事なことも知らないなんて、所詮お前はその程度だって。俺、そんな頼りない?」


「ちがうの。可哀想な子だって思われたくなくて」



みんな口を揃えて言う


Aちゃんは家族がいないから可哀想


だから優しくしてあげるだって


そんなのもう、うんざりだった


一人の人間として、女として、見て欲しかった



「同情なんかで、お前をこんなに愛せない。お前もっと知りたいんだ」




だから、今日はAの全てを俺に見せてくれ


真っ直ぐな視線で放たれた言葉を合図に、お互いの気持ちを確かめるようにキスをする




そのまま持ち上げられ、寝室のベッドへと優しく押し倒される







「Aっ、、、」


「ひろっ、、みつさ、、、、」







夢中になって、互いを求め合った




愛してる


彼は何度もそう言った




彼の身体の感触を自分自身に焼き付けるように、噛み締める







きっとあなたと身体を重ねるのは最後だと


そう思いながらしたキスは、涙の味がした

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たまっち(プロフ) - nanacoさん» 初めまして、たまっちです!ご感想ありがとうございますm(_ _)m初コメですごく嬉しいです!今後もぜひ、展開を楽しみに読んでいただけると幸いです(o>ω<o) (2020年2月23日 2時) (レス) id: 94d0777d49 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - 初めまして(*^^*) 今日ランキングで見つけて、ここまで拝読しました(TT) 不倫ものなのにドロドロしてなくて胸が苦しくなります(;ω;) (2020年2月20日 19時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たまっち | 作成日時:2020年2月7日 22時

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