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３８、 ページ39
三日月sideーーー
…少し、昔話をしよう。
いや、俺からすると、
思い出話だがな。
…Aは、幼子の時から優しかった。
俺達には平等に接し、
植物や、
生き物。
虫にさえも、
優しかった。
愛に飢えていた俺達の、
大事な、大事な、宝だった。
だが、あの時は、優しいのであれば、愛を教えてくれるのであれば、誰でも良かった。
…だがな、
…今、こうして考えるだろう？
…不思議なことに、
三日月「…Aの、…主のことしか、考えられないんだ…」
四つの時、
じいじ、じいじ、と呼んでは、
俺の後をつけて、
…それがなぁ、どうしようもなく、
小さくて、
愛おしくて、
…だが、こう、どんどん大きくなっていくと、
俺のことを、
じいじとは呼ばなくなり、
俺の後ろをついてこなくなり、
だが、
…笑顔は、
優しい笑顔だけは、
絶対に変わらなかった。
泣くことも、少なくなっていった。
…泣くと、真っ赤になる鼻や、頬が可愛かった。
愛いかった。
もっと、
涙を拭ってやりたかった。
もっと、側で、
…側で、
その、声を、笑顔を、姿を、
見届けたかった。
『三日月ぃッ！！！！』
…嗚呼、主よ。
…いや、Aよ、
…その涙を、拭うことが、
俺には、できんのだ…、
「…許してくれ…、」
…だのに、
未だに、
主が、
恋しいのは、
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作者名：こゆんちゃん
| 作成日時：2021年11月24日 9時
