パパは私を見てくれない。【フロイド・リーチ】

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家に帰ると、アズールさんがパパとジェイドさんにうまく誤魔化してくれてなんとかなった。

「…A、おいで」

「うん」

アズールさんの隣に座る。


「ほら、この人ですよ。

彼女が、あなたのお母さんです」

「…この人が…」

…優しそうな目をした、綺麗な人。

私とおんなじ髪色だ…


“ 「…あ、アズール先輩。撮ってるんですか？コレ」”

“ 「はい」 ”

“ 「…ほら〜、Aちゃ〜ん。カメラにむかって、にっこり笑顔ー！」 “


嬉しそうに私を抱っこしながら、微笑んでいた。


次の瞬間、画面が切り替わった。

表示されている日付は私が生まれた日だ。


” 「…フロイドさん…、…この子の名前、私が決めてもいいですか？」 “

” 「…うん」 “

その女性は、心から愛おしそうにその名前を呼んだ。


“ 「A」 ”


…私を、愛してくれていない。なんて、ただの、都合のいい私の妄想で、


ママは、私のこと…本当に、


“ 「愛してるわ、A。…私の可愛い可愛いA。




生まれてきてくれて、ありがとう」”




愛して、くれていたんだ。


「…わ、たし、…っさ、…さっき、…ひどいこと、」

「…僕たちにも非があります。もっと早く、教えてあげれば良かった」

それでも、動画は続いている。

“ 「Aちゃん、ママにちゅっちゅしてー」 ”

“ 「あっ、ずりぃ！俺も〜！」 ”

” 「パパはやーなんだもんねー、ママがいいもんねぇ」 ”



“ 「Aちゃんは何を描いているんですかー？」 “

” 「ま！」 “

” 「上手だね〜、将来はえかきさんかな？」 ”



“ 「A、あーん」 “

” 「ん、むぅ」 “

” 「おいしい？」 ”




“ 「A、おいで」 ”





「…っ、ままぁ…っ」


画面越しのその腕に、抱きしめられてみたいとおもった。

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