【d!】初恋に彩りを【syp】 (ページ9)

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少しの違和感ページ9

あれから梅雨の時期がすぎ、夏になり、今日は終業式

俺は後に生徒会に入ることになり、騒がしい先輩たちとなんやかんや一緒にいることも増えた

そしてできるだけ放課後、生徒会の仕事が終わると美術部に顔を出す

この数ヶ月間でA先輩のことがよく分かってきた

先輩は3学年の中でも隠れマドンナ的存在らしい

成績は優秀、何をやらせても大体のことをやり遂げるが、あまり他者との交流はないらしい

しかし、話しかければ普通に返してくれるとの事

けれどコネシマさん達いわく、教室ではずっと本を読んだり音楽を聴きながら外を眺めているらしい

俺からすればあんなに話しやすくて笑顔が素敵な先輩がずっと1人だとは考えにくかった

昼休みや放課後になると真っ先に教室を出ていくと聞いたが、それは恐らく美術室にいくからだろう

委員会は所属しておらず、部活の美術部のみ

俺といる時の先輩とは全く違う証言にかなり驚いている自分がいた

でも、今日、この終業式が終われば夏休みに入る

ということは、先輩と毎日会うことは出来なくなるということだ

俺は少なくとも生徒会の仕事で学校には来るが、先輩は3年生、恐らく三者面談などで進路のことなども出るだろう

そんなことを考えていたら式が終わり、放課後

『失礼します』

「お、ショッピくんだ、いらっしゃい」

夏になったということは、制服も夏服に変わる

夏服の先輩を見た時はいつもと違う可愛さですごくドキッとしたが…

「ついに夏休みだね〜、せっかくの夏休みだから、ショッピくんもあんまり仕事ばっかしないで青春しなよ〜？

今しか出来ないことをやるのが1番だからね、ふふっ」

そう言ってニカッと笑う先輩

『まぁ、生徒会の仕事があるのでどちらにしろ登校はするんすけどね……、そういう先輩は何するんすか？』

「私？うーん……課題は基本3日あれば終わるし、そんなにすることないかもね、三者面談もあるから私も学校には来ることになりそう」

『三者面談…先輩、進路とか決まってるんですか？』

「あー……えっと…」

少しバツの悪そうな顔をする先輩、ここ数ヶ月一緒に過ごしてきてこういう表情をすることが夏に近づくにつれ増えてきた気がする

「まぁ、何とかなるよ、私バカだからさぁ〜、行くところなんてないかもね？」

あはは、なんて笑う先輩

しかし、そんなのが嘘なことくらい、俺は分かっていた