待たせちゃうけど ページ5
「ごめん待たせた」
「い、いえ!全然」
「本当はもっとちゃんとした場所で話したかったんだけど……」
「先輩ろふまお塾の収録があるんですし、私は気にしませ、んよ」
先輩を見ていると唇ばかりに目が吸い寄せられる。結果言葉に詰まって上手く話せない。私はダメな人間だから、本当は刀也先輩の隣に並ぶことを願うことすら許されないのに、それでも私は本当に欲深い人間だから、先輩の唇が触れた途端、それがまた分からなくなってしまったのだ。
「急に呼び出して大丈夫だった?」
「私も、話したかったので」
「そっか。じゃあ、そこにでも座って、……A?」
呼ばれてハッとする。こんなに足が動かないのは、私がまだ迷っている証拠だった。まだ、彼と向き合う覚悟が、私には足りていない。だって私は遠くに行くけれど、先輩はここにいる。キスの理由だって、いつかは変わってしまうのかもしれない。それを失う覚悟が無いうちには、私たちはまだ、進むべきじゃなかった。
「私も、先輩に伝えなきゃダメなことがあります。でも、ごめんなさい。まだ、言う覚悟ができてないです」
自分勝手なことばかりでごめんなさい。でも変わってみせるから。私なりのケジメで、貴方に向き合えるようになってみせる。
「だから、マリカ杯が終わるまでやっぱりこの話待ってもらえませんか」
少しの沈黙、そして。いいよって先輩は言った。
「優勝してからの方が格好もつくしね」
それに心臓が抉られたみたいな感覚。でも流れる血はきっと幸せの色をしていて、舐めたら甘い。何でも甘く感じてしまうのは、きっと貴方がいるせい。
「優勝するのは私ですよ」
「いいや僕だ。まぁお互い優勝はラストチャンスなんだから、もっと僕ららしくやろう。例年通りって言い方はあんまり好きじゃないけど、僕たちで作り上げた五年間の最後を盛大に飾ってやろうよ。何も変わらないままでも、僕たちは最高なんだから!」
あぁ好きだなって思う。先輩に恋して良かった。貴方に出逢えて良かったって、堪らなくなって両手を広げて高らかに宣言する先輩の胸に飛び込む。狼狽える先輩ごと腕に抱いて、強く。先輩キスしたんだから、私もこれくらい許されるはずだ。ほら、先輩抱き締め返してくれた。ふふ。幸せに慣れたら、もう後戻りできないのになぁ。それでもいいやって思う自分がいた。
「先輩」
「なに?」
「あと、私が優勝したらチューリングラブ歌ってください」
「それは嫌」
「え」
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シィ(プロフ) - きゃーなんて綺麗な声ではなく悶えるような声を発しながら楽しく読んでいたら気づけば無言で涙ボロボロで読んでました。後日談とか勝手に考えてさらにもーッ!!!って気分です。最高でした。 (4月2日 2時) (レス) @page49 id: 45c181e6d5 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 数時間で一気読みしました。長い長い映画を見たような気分で、ずっと泣いています。「二次創作」や「夢小説」の一言で片付けるにはあまりに勿体ないほどの作品でした。本当にこの作品に出会えてよかった! 現世でも来世でも、さくらもちに幸あれ!! (3月28日 23時) (レス) id: 50bb1a18fa (このIDを非表示/違反報告)
紫月とと - 初めて拝見してから一気見をしてもうボロボロと泣きっぱなしでした笑 こんなにも綺麗な恋があるのだろうか、と夢を見させて頂きましたし、何よりも二人の気持ちが尊すぎました😿🤍 さくらもちに永遠の幸あれ! (3月28日 15時) (レス) @page49 id: 5d87268641 (このIDを非表示/違反報告)
なえ(プロフ) - コメント失礼します。今日(昨日)初めて見てそのまま一気見したのですがここまで大号泣した夢小説は初めてです。軽い気持ちで臨んだのに…とてもよかったです。さくらもちお幸せに! (3月25日 1時) (レス) id: a0bf3e5ea8 (このIDを非表示/違反報告)
るるなる(プロフ) - 完結おめでとうございます、今目の前が見えないぐらい号泣しているのですが、、。幸せな気持ちでいっぱいです。長期連載お疲れ様でしたこれからも何回も見返します。そしてこれからも150年も幸せであれ!さくらもち!! (3月6日 21時) (レス) @page49 id: e4083c598e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴた | 作成日時:2023年11月19日 17時