正反対な兄妹 2【ヒプマイ】(簓妹主) (ページ31)

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79：早朝の気まぐれページ31

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「お」『げっ』

翌朝、早起きをしてホテル周辺を散歩しようとエントランスまで辿り着き自動ドアを抜けたと同時に鉢合わせてしまった銀髪に思わず心の声が漏れた

「おい、ちょと待て。んだその反応は、あ"ぁ？」

『左馬刻さ、ごめんなさいごめんなさいごっめんなさい！！まさか会うとは思わなくって…！』

案の定、タダで済むわけにいかず片手で頭を掴まれてはｷﾞﾁｷﾞﾁと握り潰されたので慌てて謝罪をすれば渋々解放された

「ﾁｯ…ま、丁度いいか。少しツラ貸せや…歩くぞ」

『へ、へい……今お戻りだったのでは？』

「ヤニ切らしたから買ってただけだ。お前は？」

『朝のお散歩です』

「ババアか」

『失敬な、ピチピチ20代です』

「その言い方が余計に歳感じんぞ」

『…酷い』

言葉遊びも大概にしつつ、適当に街中を横並びに歩くも早朝というだけあって人が少ない。朝の独特な冷たい空気に新鮮味がまして心地が良い

ふと、隣を歩いていた左馬刻さんがボソッと話し出した

「お前、彼奴に会ったのか？」

『彼奴？』

「…一郎」

会ってはいないけど話しました。なんて言ったら変に不機嫌になりそうな気がしたので首を振れば、ふんっと鼻を鳴らし煙草を取り出していた

1人なら気にしないのだが、やはり誰かが居ると沈黙が気になってしまうので話題を振ってみる

『…今日ですね、決勝』

「おう」

『えと、寂雷さん相手ですもんね…』

「ん」

「『……』」

下手くそか？！言葉のキャッチボールくらいせい！

なんで一言で返すん？気まずさ余計に増してもうしんどいって…何考えてるか分からないし、どうすればいいんよ

余りの難易度に頭を抱えれば煙草を吹き出した左馬刻さんが呟いた

「ﾌ～…、今更変に距離取ってんじゃねぇよ」

『いえ、別に取ってるわけでは』

「なんかあったんか？」

『いや、何も…あー…波羅夷空却に会いましたね』

「あ？なんでまた」

『試合見に来たそうですよ、中王区の招待で』

そういうと眉間にシワを寄せてから伺う様にこちらへと視線を向けてきた。何となく考えてる事が珍しくわかった

「…なら、彼奴もか」

『…知人に会いました。見に来てるそうです』

「そうか」

それ以上深く彼が聞いてくることはなかった。吸い切った煙草を捨てると同時に立ち止まってた

「次も見とけ。俺様が完膚なきまでに叩き潰す姿をな」

『負けたら笑いますから』

「ﾊｯ、んなのねぇわ」

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