52:断罪すべきは ページ4
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気持ち悪い
きもちわるい、キモチワルイ、キモイ…ヤダ、やだ
吐き気がしそうなほどの嫌悪感と羞恥に動かす脚が震えそうになる
なんて、自意識過剰だったんだろ…何様なんだろう
彼らにとって、私はどこにでもいる観客やモブに過ぎないのに
どこかへ消えてしまいたい気持ちと裏腹に体力が反比例しだんだんと足が重くなる
『…最低、だ』
「何が最低なんだよ…おじょーちゃん」
息切れ乍も呟けば空虚へと消えた…はずが知らない誰かに拾われた
周りを見れば…少し治安の悪い区域に来てしまってた
…ほんま、アホすぎるやろ…自分
案の定 柄の悪い男達に声をかけられ、思わず後ずさる
『…、すみません…独り言で、自分の事で』
「自己嫌悪かぁ…わかるぜ?」
そう言って男は懐からカッターナイフを取り出して見せてきた
カツアゲだな…
「こんな所来なきゃよかった〜とかな?…有り金全部だしな」
「…お、姉ちゃんきれーな目してんなぁ、おい」
『!…さ、触ら、んといて』
隙を見て逃げ出そうとしたいが、思いとは裏腹に震える脚が言うことを聞かず…頬を掴まれては顔を覗き込まれて次の一言に…背筋が凍りつく
「この色なら、いい値段で売れんじゃね…?」
『!?』
「お、いいじゃねぇか! んじゃ、取り出す前に遊んでからにすっか」
人身売買…噂程度にしか聞いてないけど、まさか…
ナイフが目の前に迫り思わず瞑れば、ビリリと少し下の方から布が破れる音がする
……これは、罰なのか?
調子に乗って、自分が関わったからと…関係ないのに自意識過剰で、弱くて情けなくて…兄にも、なれな…
涙で視界が滲み、耳元には自分の心拍しか聞こえない
ごめんなさい…ごめんなさい、私が全部悪いから…
もう、何もしないから…関わらないから、消えるから
……たすけて、おにぃ
ガンッ!!!
「っ!?、…ん、だ…お前は!」
凄い音と共に目の前に居た男は壁にのめり込んでしまいそうな程、強く弾き飛ばされ意識を失っていた
その光景に思わず腰が抜けて座り込むと、目の前には…フードを被った男の姿
影になって顔が見えない…けど
「…っるせぇ、ぶっ殺す」
地を這う低く怒りを含む、らしくない声にゾッと震える…でも間違いなく誰かわかった
彼の名を口にする前に、目の前の男へと飛びかかっていった
その手に、マイクは…なかった
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Trash(プロフ) - この作品大好きで…無理をなさらないように頑張ってください! (9月24日 10時) (レス) id: 16ea785e42 (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 続き楽しみです! (7月28日 18時) (レス) @page27 id: d76bc8bfcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャチ矛 | 作成日時:2022年5月17日 12時