正反対な兄妹 2【ヒプマイ】(簓妹主) (ページ17)

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65：変わってしまったものページ17

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賑わうカフェと珈琲の香り

穏やかな雰囲気と裏腹に少し緊張感が走る

向かい合う様に座る合歓ちゃんは中王区の帽子を脱ぎ、静かに珈琲を口へと運ぶ姿は絵になる

聞きたいことは沢山あるのに、いざ目の前にすると言葉が出てこない

「…中王区(ここ)へ来たのは決勝戦が目的ですか？」

『へ…ぁ、うん、そうだよ……あの、合歓ちゃん』

「なんですか？」

『行方不明って、聞いたんだけど…その、』

カチャっと静かにカップを置いては小さく溜息を付き、こちらへ真っ直ぐ視線を向けられ思わず背が伸びた

「私は私の意思で行政局へ身を置いているんです。あの人が勝手にそう言ってるだけでしょう」

『あの人…合歓ちゃん、それって』

「…碧棺左馬刻、っ…兄とも思いたくない」

苦虫を潰した様な嫌悪の表情に理解が追いつかない

合歓ちゃんが…左馬刻さんを、そんな風に言うなんて…あんなに、仲が良かったのに

するとフラッシュバックする様にあの日を思い出す

＂っ、嫌い……大っ嫌い！！＂

『ね、むちゃん！』

ダンｯと少し音を立てて机に手をつけば少し驚いた様子でこちらへと視線を向ける彼女に何とも言えない感情が込み上げる

「！？、なんですか」

『それ、左馬刻さんには…絶対！』

「言うなと？貴方は部外者です、そんな事言われても」

『絶対、後悔するから…言わなきゃよかったって、傷つけたって、…マイク使うようなったんなら、わかるやろ！！』

痛い…いたい、

吐き出した言葉が自分に刺さっていく

胸元を握りしめて苦しい中なんとか話し続ける、周りの目が痛いけど言わなきゃ

「…私と、貴方は違います。自分の影に私を重ねないでください」

『そうかもしれへんけど、でも…君は、優しいから…』

「Aさん」

上手く言葉にできない私を阻む様に名前を呼ぶ彼女の圧に負けてしまった

「私はもう守られるだけの存在ではありません」

『合歓ちゃ』

「私は、もう弱くない…逃げた貴方とは違う！」

『っ…、』

「あの頃の私はもういません。今は中王区の局員であり、戦える。…話は以上です」

中王区から声を掛けられたことを知っていたのだろうか、彼女の視線は冷たい様でとても強く芯があって…何も言い返せない

「さようなら、もう私と貴方は赤の他人です」

『ね、む…ちゃ』

「失礼致します」

金額を机に置き、彼女は去って行った…

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