トリップなんて望んでない！第4部 完結【ヒプマイ】

161：自責と決意 ページ13

(！過激表現 注意！)




「はぁ…話し過ぎたわ。まだ予定の時刻より早い」



一人語りに満足したのか女性は時計を確認してから、私へと再び見下し近づいて





ｶﾞｯ！…ﾀﾞﾝｯ！



『っ！…ぐｯ、』


「つまらないわね…泣き叫びもしないだなんて、ほら痛むでしょ？痛いって言いなさいよ」




しゃがんでいた私の顔を思い切り蹴りあげ、足にヒールが刺さるように踏んできた


いってぇな…満員電車で踏まれた男の人の気持ち、今わかった




「まぁいいわ…時間をあげる。最後の別れぐらいさせてあげる

女に生まれて良かったわね？…男だったらそんな権限すら与えなかったわ」




私の髪をつかみ、歪み切った笑顔で告げ雑に話してからガラの悪い男達に何かを支持して倉庫から出ていった



今しかない、動くなら…今！


靴が凹む程強く踏まれた足を何とか動かそうとすれば、後ろから服を何かに引っ張られ振り向くと





『じ、二郎くん…』



手が縛られ塞がっている二郎くんが私の服の裾を噛んで引っ張ってた




「ん、Aダメだ…お前、何かする気だろ」


「、ダメですAさん…先程はありがとうございます、でもあれは運が良かっただけです」



コソコソと小さく話しかけてきた2人、よく見ればボロボロだし頬は殴られたせいで赤くなってた




「「！」」


『…ごめん、…間に合ってよかった』





自分の不甲斐なさと安堵で泣きそうになるのを必死に堪えて、震える声で言葉を紡ぎ…力一杯抱きしめた




もう少し、早く出て行ければ


もう少し、疑う事を忘れてなければ


もう少し…私に力があれば



たらればの話をしても意味が無いのはわかっている、けど…自責と後悔に駆られて仕方ない





「、A…泣くな、大丈夫だから」



「僕達は荒事に慣れてます…1度や2度じゃありません、だから大丈夫です」




こんな時なのに…優しい声であやす様に私に体を寄せてくる

どうしてこんなにいい人達がこんな理不尽な目に合わなければならないの？



彼らの言葉には重みがある、本当に色々な経験をしたんだろう…だけど、子供に変わりない





不本意だけど…自分が招いた事、なら





『それでも、君達を巻き込んだ事に変わりないよ。怖い思いをさせてごめん、嫌な思いをさせてごめん…だから』





自分でケリをつける…それが筋でしょ





『大丈夫、任せて…今度は私の番だ』





何としてでも、この状況を変えてみせる



…私の大好きな人達のために



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